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体に張り付く汗で濡れた服の違和感に思わず飛び起きた。
食卓も男女の死体もどこにもない。目の前にいるのは大人になった少女だけだ。
Aが寝ているシーツに突っ伏していたのか、底だけ変にシワになっている。
Aが眠ってから三日が経つ。
白い首に付けられた縫い糸が、傷の痛々しさを物語っている。
全て荘園主が仕組んだ事だった、そう聞かされたのはつい昨日の事だ。
ナイチンゲールという時々現れる不思議な女性が全てを語った。要約すると荘園主からのクリスマスプレゼント。
リッパーの胸に穴を開けた信号銃と彼の刃に細工をしたのも、傷が治らなかったのも全て、余興の一つにすぎなかったと。
人の命をなんだと思っているんだ。
それとも死んでも構わない人間だとでも言うつもりか。
幸いAの怪我は回復に向かっているが傷痕は一生残るだろうし、目を覚ます気配も未だに無い。
寝返りも打たず寝言も言わず、死んだようにベッドの上で目を閉じている。
時折本当に死んでいるのではないかと錯覚し、彼女の口に手を当てて呼吸を確認するのだ。
「.......君の記憶が視えたよ」
人の過去を見たのは初めてだった。これも天眼が齎したものなのだろうか。
何故彼女の記憶を視たのか不思議に思い、記憶の中で赤く腫れていた頬に触れた。
「今までずっと一人で頑張って来たんだね」
Aが身に受けた感情、痛みが伝わるかのように自然と涙が零れた。
休みたくもなるさ、酷かったんだもの。
「好きなだけ眠っていいよ、待ってるから」
僕が知る限りA二度自分を殺している。もしくはそれ以上。
その事実が悲しくて胸をかき乱さずにはいられない。恥ずかしいほど涙が止まらずに流れ続けていた。
濡れたアイマスクを剥ぎ取り、顔が腐ってしまうくらいに泣いた。
呼吸が重く、堪えきれない嗚咽が溢れ出ていた。
握ったAの指先はまだ冷たい。
本当は今すぐ起きて、僕の酷い顔を見て下手くそな笑みを浮かべてほしい。
「変な顔だ」、不器用な言葉でそう言ってくれないか。
矛盾した思いが胸を叩き付けていた。
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イキテル(プロフ) - 猫夜桜((シラキさん» とても嬉しいコメントありがとうございます。閲覧感謝です！ (2020年4月2日 1時) (
レス) id: eab5f6dd9c (このIDを非表示/違反報告)
猫夜桜((シラキ - 何も言えない、言いたいんだけど語彙力が無さすぎて、あと文才ありまくりプロの方ですか← (2020年4月2日 0時) (レス) id: 27d48dc6f8 (このIDを非表示/違反報告)
イキテル(プロフ) - ハルさん» コメントありがとうございました、今後の励みになります。感謝です！ (2020年3月25日 0時) (レス) id: eab5f6dd9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 読み易い！文が綺麗！ (2020年3月24日 15時) (レス) id: 121cd7f10a (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ご返答ありがとうございます、了解しました！貴方様の作るお話が大好きなのでこれからも頑張ってください！応援してます！ (2020年1月30日 10時) (レス) id: 48f80f9c86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イキテル | 作成日時：2019年12月26日 2時
