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疲れたような荒い息遣いで肩が揺れる度、顎を伝った汗が地面に染みを作る。
「泣き虫へのプレゼント、考えたか？」
「無難にお菓子とかそういう物しか思いつきませんでしたけど。他に何かいい案は？」
甘いもの好きとは限らないぜ、と無駄口を叩くサベダーさんの包帯をキツく縛ってやるとわざとらしく顔を歪めた。
「いったいな。もう少し丁寧にしてくれよ」
「サベダーさんが動くから手元が狂うんです」
解読仕掛けの暗号機の音が耳に媚びり付いている。
「それよりこれ以上怪我はしない方がいい。傷口が塞がらないっていう例の騒ぎ、まだ収まってないようですから」
ただの不具合なのか、それとも意図的に荘園主が仕掛けていることなのか.......。どちらにせよなんの連絡も付かないだなんて一体荘園主は何を考えているんだ。
もし本当に致命傷になるような怪我をしたらーー。
「A、もういいか」
「あ、は、はい。終わりました」
考え事のしすぎだ。今はゲームに集中しないと。
それに昨日の事をまだクラークさんに謝っていない。早く帰って彼に伝えないと。
途端、何を思ったのかサベダーさんは表情を変えずに思い切り私の頬を抓った。
「い、いたっ、痛いですサベダーさん！」
「そんなに心配すんなよ、ハンター側とも話はついてる。聞き分けのいい奴らで助かった。.......だからわざわざ無残に殺すような真似はしないさ」
いくつも生傷が刻まれた手の中指と親指を弾いて、サベダーさんは私の額を軽く弾いた。
パチン、と良い音が響くが思ったより痛くない。
同じように生傷だらけの口角を上げて、彼は中途半端な、笑みを浮かべた。
「最後の救助にしよう。お前は暗号機を止めて待ってるんだ。できたらセルヴェさんと合流すること、いいな」
「はい、わかりました」
「よしいい子だ。早く帰って、最高のクリスマスパーティにしてやろうぜ」
サベダーさんは私の頭に手を置く。小柄な身体にはそぐわない角張った重たい手、その眼差しは兄そのものだった。
不思議な人だとつくづく思う。
表情が乏しくて目付きが悪くて、一見協調性のない人だと思っていた。
その反面、小柄な身体で走り回る姿は勇敢で見る者を奮い起こした。
だからこそサベダーさんの言葉には妙な安堵感がある。
頭のどこかで彼が言うなら絶対大丈夫だと、そう思っていた。
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イキテル(プロフ) - 猫夜桜((シラキさん» とても嬉しいコメントありがとうございます。閲覧感謝です！ (2020年4月2日 1時) (
レス) id: eab5f6dd9c (このIDを非表示/違反報告)
猫夜桜((シラキ - 何も言えない、言いたいんだけど語彙力が無さすぎて、あと文才ありまくりプロの方ですか← (2020年4月2日 0時) (レス) id: 27d48dc6f8 (このIDを非表示/違反報告)
イキテル(プロフ) - ハルさん» コメントありがとうございました、今後の励みになります。感謝です！ (2020年3月25日 0時) (レス) id: eab5f6dd9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 読み易い！文が綺麗！ (2020年3月24日 15時) (レス) id: 121cd7f10a (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ご返答ありがとうございます、了解しました！貴方様の作るお話が大好きなのでこれからも頑張ってください！応援してます！ (2020年1月30日 10時) (レス) id: 48f80f9c86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イキテル | 作成日時：2019年12月26日 2時
