. ページ26
『甲斐くん……？離して、』
.
出来るだけ笑顔で彼に訴えかけるが、
何も言わずに瞳はこちらを捕らえてて、手首は握られたまま。
.
.
先生、寝てたけど
もしかしたら監視してるかもしれない。
.
上にちらりと目をやると、ちょうど真上に
計算されたかのように監視カメラ。
.
.
『っ、甲斐くん…？ 、離してっ！』
離してくれない彼に少し強くもう一度言う。
.
.
すると、甲斐くんは
私の手首を掴んだままグッと引っ張った。
.
私の身体は甲斐くんの方を向き、
そのまま甲斐くんの胸板におでこをぶつける。
.
.
甲斐くんが私の手首を離し、
彼の腕が後ろに回るのが
横目でスローモーションのように見える。
.
.
抱きしめられる…
.
.
そう思った途端、私は彼の胸板を押した。
.
.
『……っ、ごめん、』
私は驚いている彼の顔を背に、
美術室へ駆け出した。
.
そういえば昨日捻挫かもって言ってたのに
さっきから案外歩けるし走れるし。
寝たら治ったのかな、なんて
今考えなくてもよくない？な、呑気な考えが頭を過る。
しかし、
.
『ハァッ、ハァッ、』
バレたら、
もし、先生に、バレたら。
甲斐くんが何されちゃうか分からない。
甲斐くんが何を考えてあの行動をとったのか分からないけど、
.
.
私は手の平の汗まで分かるような焦りを感じながら、
美術準備室のドアを開けた。
.
.
『せんせ……っ！！』
.
.
ドアを開けると、
布団に先生は居なかった。
代わりに目に入るモニターは電源が入っていない。
バレて、ないのかな……、
.
.
しかし、さっきまで誰か居たかのような布団の膨らみ。
.
「…………遅かったねぇ？」
『……！？』
後ろを見ると、ドアの横に
一颯先生が腕を組んで壁に寄りかかって立っていた。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2619人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なな(プロフ) - さらさん» 里見くんの主人公ちゃん愛を前面に出してみました…！そうなんですよね(^.^)いえいえ、此方こそコメントありがとうございました〜！ (2019年1月23日 22時) (
レス) id: 0167e96a69 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - ゆあさん» お仲間だーー！嬉しいです(^｡^) (2019年1月23日 22時) (レス) id: 0167e96a69 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - リディア94さん» 先生との話も回をおうごとに進んでいくと思います〜！お楽しみに！コメントありがとうございました^_^ (2019年1月23日 22時) (レス) id: 0167e96a69 (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - もう3話最高ですね。里見くんの今からでも付き合おうとするところがなんか好きです！先生もいいけど里見くんも捨てがたいですね。沢山の更新ありがとうございます。 (2019年1月23日 6時) (レス) id: ad66da0832 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - ななさん» え、めっちゃわかります！私も柊先生の次に里見くん好きなんです！← (2019年1月23日 1時) (レス) id: 0c3fdd77dd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なな
| 作成日時：2019年1月14日 21時
