. (一部回想) ページ22
茅野side___
……だから柊先生を命の恩人って慕っていたのか……
全部繋がった。
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ビデオカメラに映っていた次の映像は、
私がAと友達になった時の様子だった。
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__________(回想)
あの日、美術の授業があって
その時定規を忘れた私は放課後、
美術室へ取りに向かった。
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放課後の美術室には人影が見えて、
それはAだった。
いや、その頃はまだAさんって呼んでいた。
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「……A……さん……?」
必死に筆を動かすAは教室にいる時とは真逆で、とても生き生きしていた。
そして何よりも、かすかな光に包まれながら
イーゼルに向かうAの横顔が、とても綺麗で
見惚れてしまったことを覚えている。
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教室にいるAは魂でも抜かれたように
いつも空ばかり眺めて、一人でいたから。
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『っ茅野さん……』
Aはあの時、とても驚いて
こちらを見た。
ふと目に入る紙には人物像。
「.……すごいっ、これ柊先生だよね!?」
まだ途中の段階ではあるが、完成度の高いその絵に思わず声をかけてしまった。
そうしたらAは少し恥ずかしそうに頷いたんだ。
「…えっ、わかる?
そう!先生描いてるの!」
この時、初めて、澪奈ではなく、私に向けられたAの笑顔を見た。
それはもう…これこそ、"エモい"だ。
「すごい……Aさんって絵上手なんだね!」
『……ふふ、元はすっごい下手だったんだけどね?
先生が、教えてくれたから…。』
そう言うAはすごく嬉しそうで。
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そのあとなにかと話が盛り上がって、
Aとは教室でもよく話すようになった。
これが、Aとの出会い。
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_______________
「懐かしい……」
思わず思ったことが口に出てしまった。
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先生はちらりと私に目をやると、
「"教室でも話せる友達ができたから、
先生心配しないでね"って。
放課後は茅野と帰るからって
美術室に来るのも前よりは減って、
少し寂しかったんだよなぁ〜?」
「……え、」
まるでお前のせいだぞ、とでも言うように
こちらを見る鋭い先生の目に背筋が凍ったが。
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「…………なーんて。
茅野の話をするアイツはとても楽しそうだったよ、」
冗談だったらしい。
でも危なく殺されかけて、息がもたないわ……。
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なな(プロフ) - さらさん» 里見くんの主人公ちゃん愛を前面に出してみました…!そうなんですよね(^.^)いえいえ、此方こそコメントありがとうございました〜! (2019年1月23日 22時) (レス) id: 0167e96a69 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - ゆあさん» お仲間だーー!嬉しいです(^。^) (2019年1月23日 22時) (レス) id: 0167e96a69 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - リディア94さん» 先生との話も回をおうごとに進んでいくと思います〜!お楽しみに!コメントありがとうございました^_^ (2019年1月23日 22時) (レス) id: 0167e96a69 (このIDを非表示/違反報告)
さら(プロフ) - もう3話最高ですね。里見くんの今からでも付き合おうとするところがなんか好きです!先生もいいけど里見くんも捨てがたいですね。沢山の更新ありがとうございます。 (2019年1月23日 6時) (レス) id: ad66da0832 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - ななさん» え、めっちゃわかります!私も柊先生の次に里見くん好きなんです!← (2019年1月23日 1時) (レス) id: 0c3fdd77dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2019年1月14日 21時