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. ページ42

走って美術室まで戻ってくる。



.




.




『先生!……先生!先生!
一颯先生!』



そう何度も呼ぶと、

準備室の扉が開いて





「……っ、Aか、…どうした?」



と、まだ頭から血を流したままの先生が出てきた。

その足取りは不安定で、目は虚ろ。

先生の手から落ちて此方に転がってきたであろう包帯を拾う。





.






私は急いで椅子を出して、
そこに先生を支えながら座らせた。





『……私手当てしますからっ』


先生は項垂れるように椅子に座って
眼鏡を外すと目を閉じた。


「お前……そのために戻ってきたのか……」


『……はい、心配だったので。』





先生の頭の傷を消毒し、

包帯を巻く。



.




「……いっ、」


顔を歪ませ、小さく声をあげた先生。




『……あっ、ごめんなさい。痛かったですか?』



眼鏡をかけて、此方を見ながら


「ん……いや、ありがとな。」



という先生。

必然的に座ってる先生の目線が立ってる私より下で。



上目遣いみたいになってて

なんだか恥ずかしい。



でも……先生が無事で


本当に良かったと思った。





.





すると、


先生の手がするっと伸びてきて、
私の頰に滑り込むように触れた。


親指で目の当たりを優しく摩る。





.



.



「…また、泣いてる。」




汗みたいに涙がポロポロとひとりでにこぼれ落ちていた。


でも、今涙が流れる理由はわかる。






.




『……一颯先生が無事で……良かったなって思ったら……』


涙で声が潤ってきた。



.




先生は少しだけ口角を上げ、目を細めた。


「こんなところで死ねない。……死ぬわけにはいかないよ、Aを残して。」




そしてもう一度私の頰を優しく撫でた。



心の中に何かがポッと点火されたような
ほの温かさを感じた。




それがとてもとても心地よかった。




.




本当は先生と一緒に死にたいんじゃない、





一緒に生きたいんだ……。


一緒に。

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設定タグ:菅田将暉 , 柊一颯 , 3年A組   
作品ジャンル:ミステリー
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- ページ32の、マインドボイス、通称“マイボ”と言うところで、マイボ、ではなくて“マイボイ”です。これからも頑張ってください。 (2019年5月5日 8時) (レス) id: cb1f0a8444 (このIDを非表示/違反報告)
和苗 - Day-2も楽しみにしてます! (2019年1月13日 23時) (レス) id: 7721ae642c (このIDを非表示/違反報告)
たー坊(プロフ) - 続き楽しみです(*´ー`*) 更新頑張って下さい*_ _) (2019年1月13日 18時) (レス) id: 765e39c43d (このIDを非表示/違反報告)
咲良(プロフ) - めっちゃすきです(;;)続き楽しみにしてます!! (2019年1月13日 2時) (レス) id: 50485c4a3d (このIDを非表示/違反報告)
和苗 - とっても面白いです!!!!更新頑張ってください! (2019年1月11日 23時) (レス) id: 7721ae642c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なな | 作成日時:2019年1月7日 1時

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