生きる 【3年A組―今から皆さんは、人質です―】

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『……あああっ、違う違う違う！
そうじゃない！違うよ……多分。』



焦って顔を上げると、

驚いた表情でこちらを覗き込むさくらと目が合う。


しまった、声に出してしまっていた……





「……A？どうしたの？」

『ごめんごめん、何でもないよ？』



手を横に振って返すと、
さくらは不思議そうな顔でこちらを向いた。








そして、



「A……昨日はありがとね。」




急に真剣な顔でそう言ってきたさくら。




『え、っ、なになに、急に。』

「昨日、ちゃんと言ってなかったなぁと思って。…嬉しかったなぁ。」

『当たり前だよ、さくらは本当に、本当の、友達なんだから。ずっと。』

「ふふっ、」

『…なんで笑うのよ。』

「いや、Aもさ、澪奈とはまた違う"エ ロさ"……いや、"エモさ"があるわけだよ！」

『もう〜、なにそれ！』

「んー、分かんないかなぁ、儚さというか、透明感？
そんな子にずっと友達だよ、なんて言われたら嬉しくなっちゃうの。」

『もう。さくらったら。』

「Aのことは私が守ってみせる！」




そう言って拳を小さく突き上げるさくらはとても可愛らしくて笑ってしまった。


私も、さくらのこと守るからね。







こんな状況に置かれていても、


さくらと話しているときは
自然体で、笑顔で居れた。


澪奈のことも、さくらとなら話せる。
思い出せる。きっと。


さくらと私の中で、澪奈には生きていて欲しいんだ。


せめてもの願い。




.






さくらとの話に夢中になってる私たちは、
教室からいなくなっている真壁くんと里見くんには気が付かなかった。

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