名前 ページ7
Aside
「…お前、なんか変やなぁ」
｢生贄に選ばれる奴はみーんな心底嬉しそーにして来んねん。」
可笑しい。幾ら恐ろしいと感じたとしても、微塵たりとも態度は変えていない。何故解る？心でも読めるのか？そんな小説の物語の様な事がある筈が無い。
｢何でお前、そんなに生きる事にこだわってんねん。人なんてもん簡単に死んでまうんや。でも、どんな聖人君子も極悪人にも次がある。死んだら次。それでこの世界は成り立ってんねん。解るか？」
疑問形で訊かれているという事は、私自身の考えを言ってみろという事なのだろう。言わなかったら、殺されてしまうかもしれない。そんな、考えが一瞬頭の隅をよぎり、つっかえつっかえで話し始める。
『…わ、たしには、どうしても、理解出来ません。確かに、人間は、すぐに死んでしまいます。すぐ死んでしまったとして代わりは幾らでもいるし、次があるかもしれません。そんな事、とっくの昔に理解してます。でも、私は人間です。生きる目標も死にたいと思ったとしても生きてしまうのが人間です。目標なんて生きてる中で見つければいい。辛いなら幾らでも逃げればいい。生きてさえいればなんとかなる。少なくとも私はそう思っています。』
｢…お前、顔見せてみ。」
あ。怒らせた。言い過ぎてしまった。そんな後悔も今となってはもう遅い。私は殺される覚悟で顔を上げる。
｢ふーん。顔はまあまあやな。」
暫く間が空きこう言われた。
｢ええよ。お前、生かしたる。」
これ程、心の底から喜びという感情が湧き上がってきた事はないだろう。でもその喜びは次の一言により一瞬にして消え去る事となる。
｢今から言う条件破ったら、問答無用で殺すかんな。」
｢其の一、俺に媚を売らん事
其の二、基本この屋敷から出えへん事
其の三、俺に嘘を吐かん事
この三つや。守れるか？」
『はい』
｢…あー、あと俺の名前はコネシマっちゅうねん。」
『、コネシマさん？』
kn｢せや、よう覚えとけ」
犬神様にも人間の様に名前があるらしい。少し犬神様のことを知れた気がした。
kn｢勘違いせぇへんで欲しいんやけど、お前は俺の気分で生かしてやっとるだけ。だから、俺にあんま干渉すんな。」
そう残し、コネシマさんは隣の部屋へと行ってしまった。
生かされた。勿論、嬉しい事だが、だからといって安心できる訳では無い。今の私は、いつ殺されてもおかしくないのだ。今はまだ、大人しくしておこう。そう心に留めた。
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あまね(プロフ) - すき (8月8日 4時) (
レス) @page28 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ふぉっさ(プロフ) - 彩雲朱瑠璃さん» 返信、遅くなってしまい申し訳御座いません。感想だけで無く、アドバイスまで頂けるなんて感無量です。その、助言有難く頂戴致します。更新は不定期になってしまいますが、乞うご期待を。 (2022年7月25日 12時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
彩雲朱瑠璃(プロフ) - すごく面白くて好きです！あ、あともしかしたら１ページ目のはないちもんめのところ、「ちょっとおいで」じゃなくて「ちょっと来ておくれ」かもです。在住地違いなどもあるかもしれませんが… (2022年7月18日 21時) (レス) @page1 id: b1698b1cbf (このIDを非表示/違反報告)
ふぉっさ(プロフ) - 名無しくんさん» 返信遅くなり、申し訳ございません。初コメ有難うございます。更新は不定期ですが、これからも頑張りますので、乞うご期待を宜しくお願い致します。 (2022年5月22日 10時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - とても素敵な作品ですね！私には書けない…すごいです！なんかこう…すごいです！(語彙力０)これからも頑張ってください！ (2022年4月14日 22時) (レス) @page9 id: 271b6082c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：。 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年4月1日 12時
