神様 ページ28
「彼奴、何してくれてんねん。」
神様は舌打ちを零し、地団駄を一つ踏んだ。周りでふよふよと雲のように飛んでいた天使達はすぐさま逃げて行ってしまった。神は、如何なる時も怒らず、優しさの化身であると教えられてきた天使にとって、彼は神とはかけ離れた者に見えたのだろう。
「人間界にでも堕としてやりゃよかった、」
溜息を零しながら、角砂糖を一つ口に放り込む。見ているだけでも胸焼けしそうだが、それだけでは足りなかったのか、角砂糖をもう一つ口に放る。
立ち上がり、下界へと向かって行く。天使はビクビクしながらも彼の背中を遠慮がちに追っていた。彼が、一歩一歩と踏み出す度に、羽根が抜け落ちていき、頭に悪魔の様な角が芽の様に生えてくる。
天界を越える頃には、悪魔と見分けが付かない程に純黒に包まれていた。天使にとっては其れが可笑しかったのか、くすくすと笑いながら半ば彼を馬鹿にした。
下界に着いた頃には、妖怪等がケタケタと笑いながら立っていた。しかし、そんな笑いに苛つく暇も無い程彼、否、グルッペンは焦りに追われていた。
妖怪はそんな彼とは裏腹に腹を抱えて笑っていた。神が人間一人にこんなにも振り回されている光景は妖怪にとって傑作であったのだろう。彼が命令を下した後でさえ笑いが絶えることは無かった。
一人は気怠そうに煙草をふかしながら、一人は愛想の良い笑顔を振り撒きながら、一人は周りの妖怪を舐め回すように見ながら。これだけでも随分と個性的であるが、彼等を目にかける者は誰一人としていなかった。
彼等が、笑いに飽きてきた頃に上がった話題先程下された命令についての事だった。しかし、作戦会議などと言う真面目な物では無く、愚痴ばかりが飛び交っていた。
その、命令というのが「彼奴を連れ返して来い。」という物だった。
此処での彼奴、というのはグルッペンが愛してやまない人間の事である。彼が言うに、彼女はこの世に生まれてきて良い者では無かった、と言う。どういう訳かは、彼の側近にいる者でさえ理解に及ばなかったらしい。
彼の考えている事は、神でさえも理解できない。言葉の意味は解るのだが、真意というものが中々にあやふやで、掴むどころか掠りもしないそうだ。だから、よっぽどの事が無いと彼に声をかける者は居ない。それに、人が悩み自身に怯える姿を目にし、彼は笑みを浮かべ、それどころか時に笑い声さえ上げるそうだ。
ふと、彼は天界のなかでも特に異彩を放っている、と噂話が聞こえてきた。
続く (更新停止中)
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あまね(プロフ) - すき (8月8日 4時) (
レス) @page28 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ふぉっさ(プロフ) - 彩雲朱瑠璃さん» 返信、遅くなってしまい申し訳御座いません。感想だけで無く、アドバイスまで頂けるなんて感無量です。その、助言有難く頂戴致します。更新は不定期になってしまいますが、乞うご期待を。 (2022年7月25日 12時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
彩雲朱瑠璃(プロフ) - すごく面白くて好きです！あ、あともしかしたら１ページ目のはないちもんめのところ、「ちょっとおいで」じゃなくて「ちょっと来ておくれ」かもです。在住地違いなどもあるかもしれませんが… (2022年7月18日 21時) (レス) @page1 id: b1698b1cbf (このIDを非表示/違反報告)
ふぉっさ(プロフ) - 名無しくんさん» 返信遅くなり、申し訳ございません。初コメ有難うございます。更新は不定期ですが、これからも頑張りますので、乞うご期待を宜しくお願い致します。 (2022年5月22日 10時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - とても素敵な作品ですね！私には書けない…すごいです！なんかこう…すごいです！(語彙力０)これからも頑張ってください！ (2022年4月14日 22時) (レス) @page9 id: 271b6082c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：。 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年4月1日 12時
