自死 ページ26
Aside
痛い。
しかし、思いの外直ぐに消えてしまった。不思議な事に、次に感じた感覚は何というか、ふわふわとしたものに包まれたようなものだった。もしかしたら本当は死んでいないのかもしれない、と自身の身体に目を向けた。しかし期待とは裏腹に、自身の腹の辺りには黒とも赤とも言えぬ液体が滲み広がっていた。そして、天使様の顔を見る間も無く、眠気のようなモノに襲われた。
暗転。
天使様side
「やっとや。やっと、手に入る。」
冷たくなってしまったAの身体を思い切り抱きしめ涙を流した。最高潮の喜びに浸っていた。しかし、背後からの声で俺の喜びは台無しになってしまった。
kn「…は？、A？」
あぁ、最悪だ。タイミングが悪い。いつも此奴は、俺の精神を逆撫でするような事をしてくる。いっそのこと殺してしまおうか。そう考えてしまう程此奴が恨めしい。
kn「おい、お前。
お前がAの事殺したんか？」
眉間に皺を寄せて、凄い剣幕でこう問われた。嗚呼、怖いこわい。お美しいお顔が台無しですよ、犬神様。内心、小馬鹿にしながらこう言った。
「ちゃうよ。」
間髪無く答えてやった。みるみるうちに、顔が青ざめていった。更に追い打ちをかけるように言った。
「Aは自身の意思で死んだんや。自死やよ。」
kn「そんな事、ある訳ないやろ。」
「何で言い切れるん？」
kn「…そ、れは、」
「ほら。なーんにも言い返せへんやんけ。妖怪如きが、天使様に歯向かってんとちゃうぞ。
じゃあ、此の子は貰ってくめう。」
少し茶化す様に言った。いや、言ってやった。そして、Aを抱き抱え彼奴の居る所へと向かった。犬神はどうにかAを奪い返そうとしているのか此方に向かって来たが、伸ばした手は羽を掠った程度で終わってしまったようだ。
そんなのだから、お前ら妖怪には人間一人守れない。いつ見ても、妖怪は滑稽だ。鼻笑いを一つ皮肉に零してやった。
kn side
くっそ。やられた。
何故、警戒しておかなかったのだろう。後悔先に立たずと言う奴だろう。Aは俺が勝手に生かしている。本来なら神様に人間を生かす際は通達しなければ、ちょっとした罰が下る。そのちょっとした罰というのは人間で言う死刑と何ら変わりない。妖怪であれば少しの痛みにしかならないのだが、人間であればそれが人生の幕を下ろす事になってしまうのだ。
後悔の念と、先程掠めた純白の羽だけが残った。
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あまね(プロフ) - すき (8月8日 4時) (
レス) @page28 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ふぉっさ(プロフ) - 彩雲朱瑠璃さん» 返信、遅くなってしまい申し訳御座いません。感想だけで無く、アドバイスまで頂けるなんて感無量です。その、助言有難く頂戴致します。更新は不定期になってしまいますが、乞うご期待を。 (2022年7月25日 12時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
彩雲朱瑠璃(プロフ) - すごく面白くて好きです！あ、あともしかしたら１ページ目のはないちもんめのところ、「ちょっとおいで」じゃなくて「ちょっと来ておくれ」かもです。在住地違いなどもあるかもしれませんが… (2022年7月18日 21時) (レス) @page1 id: b1698b1cbf (このIDを非表示/違反報告)
ふぉっさ(プロフ) - 名無しくんさん» 返信遅くなり、申し訳ございません。初コメ有難うございます。更新は不定期ですが、これからも頑張りますので、乞うご期待を宜しくお願い致します。 (2022年5月22日 10時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - とても素敵な作品ですね！私には書けない…すごいです！なんかこう…すごいです！(語彙力０)これからも頑張ってください！ (2022年4月14日 22時) (レス) @page9 id: 271b6082c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：。 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年4月1日 12時
