恐怖 ページ3
Aside
明日死ぬ。
こんな言葉だけでは私の脳内にある恐怖を表す事は出来ない。それほどまでに私は死への恐怖を感じていた。どうにか生き延びる方法はないか。脳にある情報を全て絞り出すように何度も何度も繰り返し考える。方法を思いついては脳内イメージを膨らませ、これもダメ、あれもダメと考えた物が一瞬にして脳の端へと追いやられていく。
｢お昼食べるわよー」
『はーい』
そんな事を何度も何度も繰り返しているうちに昼食を摂る時間になってしまった。これ程までに時間の流れがうざったいと思った事は無いだろう。一つ溜息をつき、食卓へと足を運ぶ。
｢｢｢『頂きます』｣｣｣
食卓にはいつもとは違い豪華な料理が所狭しと並んでいる。いつもと言っても今となっては懐かしいとも思ってしまうが。
｢明日はいよいよ祭壇だな。Aも立派になったなぁ」
何が立派だ。誇らしい訳がないだろう。私は死んでしまうというのに何故そんな笑顔で送り出す事が出来るのであろうか。
｢そうね。明日はおめかしするわよ！」
あんなにも望んだ大人への第一歩である化粧が今となっては苦でしかない。何で私を殺す奴の為に御洒落をしなければいけないのだろうか。
｢Aはいいなぁ。犬神様の姿が見れて」
死んだら元も子もないではないか。犬神様の姿なんて毛程も興味がない。美しくても、醜くてもそいつに殺される。そんなのを羨むなら今すぐにでも立場を変わってあげたい。
『ご馳走様でした。』
｢あら、もういいの？」
『うん。お腹いっぱい』
｢そう」
やはり家族団欒の食事は嫌いだ。家族との価値観の差が大きすぎる為、何を言われたとしても皮肉にしか聞こえない。
でも、そんな事で悩んでいる場合ではない。一刻も早く生き延びる方法を考えなければならないのだ。もし仮に村から出たとして今後衣食住が安定するかと言えばそうではない。どうしよう。犬神様に捧げられたら必ずしも死ぬという訳では無い。しかし、生き延びることができるいう可能性も限りなく低い。
｢夜ご飯出来たわよー」
『今行くー』
｢Aの最後の夜ご飯ね」
『うん』
絶対に生き延びてやる。
そう心に誓った祭壇の日の前夜。
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あまね(プロフ) - すき (8月8日 4時) (
レス) @page28 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ふぉっさ(プロフ) - 彩雲朱瑠璃さん» 返信、遅くなってしまい申し訳御座いません。感想だけで無く、アドバイスまで頂けるなんて感無量です。その、助言有難く頂戴致します。更新は不定期になってしまいますが、乞うご期待を。 (2022年7月25日 12時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
彩雲朱瑠璃(プロフ) - すごく面白くて好きです！あ、あともしかしたら１ページ目のはないちもんめのところ、「ちょっとおいで」じゃなくて「ちょっと来ておくれ」かもです。在住地違いなどもあるかもしれませんが… (2022年7月18日 21時) (レス) @page1 id: b1698b1cbf (このIDを非表示/違反報告)
ふぉっさ(プロフ) - 名無しくんさん» 返信遅くなり、申し訳ございません。初コメ有難うございます。更新は不定期ですが、これからも頑張りますので、乞うご期待を宜しくお願い致します。 (2022年5月22日 10時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - とても素敵な作品ですね！私には書けない…すごいです！なんかこう…すごいです！(語彙力０)これからも頑張ってください！ (2022年4月14日 22時) (レス) @page9 id: 271b6082c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：。 | 作者ホームページ：
作成日時：2022年4月1日 12時
