或る少女の昔話#2 ページ38
母の変化は増えていった
怪我を隠さなくなった
目の色が変わることがあった
理性を失うことがあった
行く場所を伝えず1人で外出するのが増えた
夜に苦しそうな声が聞こえた
何より
笑顔が減った
私は大丈夫かと聞き続けた
母も大丈夫だと答え続けた
何が、大丈夫だったのだろう
そして、その日は訪れる
私の6歳の誕生日の前日、祖母の家でパーティーをした
ちょうどその日は土曜で一泊して、家に帰る予定だった
そのパーティーは昨日のことのように思い出せる
祖母が作ってくれた私の好物だけが並んだ食卓や母の手作りバースデーケーキ
プレゼントは明日のお楽しみって言われて、少し拗ねたっけ……
笑顔の減った母はその日、とてもよく笑った
心底楽しそうに
また「当たり前」が戻ってきたんだと思った
髪を洗ってくれる手つきも、歯の仕上げ磨きで私を覗き込む目もいつも通りで…
しばらくしてくれなかった寝る前の子守唄もその日は唄ってくれた
その夜はいい夢を見られた
次に太陽が昇った時、母はもういなかった
代わりにあったのは小さなメモ用紙と私の欲しがってたキラキラの髪飾り
«Aへ
誕生日おめでとう
ごめんね
お母さんより»
当然、私に理解できるはずもなく、ただただ混乱した
祖母は私に何も教えてくれなかった
私には泣くことしかできなかった
・
・
・
小学校を卒業する頃、祖母は病気に伏した
元から病弱だった祖母は長くないと悟ったのだろう
私に全てを話した
母は逃げてからも父に会っていた
父は私を傷つけると母を脅し、代わりに母を刺して、蹴って、殴ったそうだ
父の個性は傷が深ければ深い程、多ければ多い程“創られた人格”が“本人”を蝕む
続けられればいずれ“本人”は食い尽くされてしまい、その身体は完全に“創られた人格”のものとなる
母は限界に達していた
自分で自分を制御できない程に
私に手を出してしまうことを恐れ、私を守るために離れていったのだ
祖「昔はあの子もヒーローになるんだっつって張り切ってたもんだ、懐かしいねぇ
でも…それも叶わず消えちまったのかねぇ、あの子……」
『…母さんは私を守ったヒーローだよ』
祖「あぁ、そうかい…
そうかい…」
婆ちゃんは私の前で初めて泣いた
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[いくと](プロフ) - 二階堂嗹哉さん» コメありがとうございます！！全巻+小説！？大人ですねぇ！私も小説ほしい…（金欠の人）爆豪君！私もめっちゃ絡ませたい！！です！頑張ります！ (2018年3月6日 18時) (
レス) id: aa1c3c8a58 (このIDを非表示/違反報告)
二階堂嗹哉(プロフ) - どかんと、大人買いしたな……吾も（お年玉でヒロアカ全巻+小説買った人）これからも頑張ってくださいな。………透見ちゃんには爆豪くんと絡んでほしい…… (2018年2月22日 13時) (レス) id: 457093c9f7 (このIDを非表示/違反報告)
[いくと] - mira太郎さん» ありがとうございます！見直して下さってるんですか！？そんな何回も星押して下さってるんですか！？どうしよう、めっちゃくちゃ嬉しいです！！めっちゃ頑張りますね！！ (2018年1月20日 16時) (レス) id: 31ad1d6ed4 (このIDを非表示/違反報告)
mira太郎 - くそッ…！見直すとやっぱり星を押してしまう！でももう常に押してあるから無効になっちまうよ！畜生！更新頑張ってください！応援してます！ (2018年1月20日 0時) (レス) id: 698cf842a0 (このIDを非表示/違反報告)
[いくと] - 神雷さん» コメントありがとうございます！ついに普通科推しの方が…！嬉しいです！！もう少ししたら出てくるかも((お待ち頂けたら幸いです(笑)頑張ります！ (2018年1月19日 21時) (レス) id: 31ad1d6ed4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：[いくと] | 作成日時：2017年12月27日 12時
