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【mg side】
舘さんに聞いたのは、自分でネットの世界に行く勇気も気力もなかったから。
ずるいことしちゃったな。
でも、
1人で行けると言った手前その辺でぶっ倒れるわけにはいかないから、慣れきった家までのルートはただ無心で歩いた。
いま何か考えてしまうと足が止まる。
待たせているんだ。早く戻らなきゃいけない。
鍵を開けるとそこは朝出たときのまま。その空間が妙に懐かしい。
そうか、ここはまだ傷を負う前の世界。
今日の仕事を楽しみだと思っていた、無垢な世界。
その世界に今の自分が入ることに気が引けた。
しかし早く戻らなくては、と一歩踏み出す。
そこからはまた無心で動くほかない。
血で染まった服を脱いで、急いでシャワーを浴びて、ドライヤーもそこそこにリュックに服を詰める。
ちょうどこの間泊まりのロケがあったから、必要なものはだいたいそのリュックに入ってる。
最終確認、と開いた外側のポケット。
その中にあったのは、前に康二から借りた黒のヘアゴムだった。
確か車の中で台本を読もうとしたら前髪が邪魔で、そのときに康二が貸してくれたものだ。
今日だけじゃない、いつも･･･
いつだって俺は、康二に･･･
mg「あぁっ････！ う、ぅぅ･･･っ」
さっきはかすかにあった意識が遠くなる感覚は、今はない。
ただ溢れ出る涙を止める術を、今の俺は持ち合わせていなかった。
・
どれくらい時間が経っていたんだろうと、着信を伝えるスマホで我に返る。
dt「あ、目黒？ よかった。
部屋で倒れてるんじゃないかと思って心配でかけちゃった。
ごめん、急がなくていいからね。
全然、待てるから。」
mg「･･･ん、いや、もう戻ります。
すみません、待たせて。」
dt「･･･んーん、全然。
じゃあ、待ってるな。」
バレた･･･かな。どっちにしろ顔見られたらわかるか。
舘さん、観察眼鋭いし。
それでも何も言わず信じて待っていてくれるのが、舘さんの優しさだ。
ずっと握りしめていたヘアゴムは自分の手首に通した。
服のせいでいつも以上に重たいリュックをかついで、俺は再び外の世界へと踏み出した。
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葉桜(プロフ) - ゑさん» ありがとうございます！ (2021年8月7日 12時) (
レス) id: 7d1a4e7666 (このIDを非表示/違反報告)
ゑ(プロフ) - いえ！今の路線でも十分すぎるほどお話の展開が面白く、担当構わず楽しませて頂いてます！笑 これからも無理のない範囲で頑張って下さい！ (2021年8月7日 1時) (レス) id: 7b222a0e4e (このIDを非表示/違反報告)
さやか(プロフ) - ゑさん» コメントありがとうございます！白ちゃんとなると、ご期待に沿えるか微妙かもしれませんが（汗）、これからもゑさんに楽しく読んでいただける作品になるよう、頑張ります。 (2021年8月7日 0時) (レス) id: 254c810830 (このIDを非表示/違反報告)
ゑ(プロフ) - 白ちゃんの病系(?)が好きなので、勝手にこれからの展開が楽しみです！笑主様のお話大好きで、いつも楽しく拝見させて頂いております！これからも、頑張ってください！ (2021年8月6日 0時) (レス) id: 7b222a0e4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉桜 | 作成日時：2021年7月21日 0時
