お隣さんはイケジョ２【Fischer's】

58話 ページ9

貴方side




自分にこんな気持ちが芽生えるなんて、
今まで思ってもみなかった。



シ「…私が、好きです。俺と幸せになってください」



驚いた。

決して本意ではないとしても、あなたの言葉一つで、
こんなにも舞い上がってしまう自分に。



シ「…傍にいて、私…」



その言葉に、素直に頷けることができたら。
あなたのものになれてしまえたら、どれだけいいか。


だけど、これ以上先は許されない。


それはあなたが200万人に愛される人気者で、
私はそれを支える影に過ぎないから。


出会った時から、私の中心にあなたはいた。
そして気づかぬうちに、気持ちはどんどん膨らんでいた。


誰を好きになるのも、好きでいるのも自由だと思う。
だけど、それ以上先に進むことを、私が望んではならない。




貴『…ごめん、』




''好き''の代わりにでた言葉は、ひどく掠れていた。



扉の向こうに消えて行くあなたを笑って見送る。
「また明日」、大丈夫、笑って、いつも通りに_______




貴『全然笑えないよ……！』




隣の部屋の扉の閉まる音が、無情にも響き渡った。

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