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出会いと別れ 1 ページ7

ジソン


僕の両親は鉄道事故で死んだ。


列車の整理不良による事故。


僕達が出会ったのはその遺族が集まる会だった。


周りを見れば大切な人を亡くした人ばかりで、みんな泣いている。


僕はといえば、涙が1粒も出ることなくただ冷めた目で周りをみるだけだった。


僕の両親はいわゆるエリート。


良い大学に行き、良い会社に入る。


僕にそんな事を望んでいた。


だけど、僕はあの人達の期待には答えられなかった。


頑張っても頑張っても、お前はダメなやつだと罵られ殴られ蹴られ。


そのうち暴力を振るう時以外は、存在そのものすらなかったかのようになった。


あの人達の為に泣くなんて僕には無理だ。


冷めた心の中で僕はそう思っていた。


涙を流す人達を眺めていると、1人の子供に目が止まる。


それがソランと僕の出会いだった。


泣くことはおろか、表情すら変えない彼女はこの会の中では異様だった。


初めは小さいからまだよく分かってないのかな?そう思っていた。


でも僕と目が合うと彼女は少し笑ったんだ。


あぁ。きっと彼女は僕と同じだ。


僕の事を理解できるのはこの世の中で彼女だけ。


不思議だった。


周りに人がたくさんいるはずなのに、僕の目には彼女しか映らないんだ。


遺族の会が終わり彼女が部屋をでる寸前、僕は彼女に話しかけた。


何か困った事があったら電話して。


そう言って、紙の切れ端に携帯番号を書いた紙を渡した。


彼女は何も言わずにそれを受け取り、僕に小さく手を振り帰っていた。


1週間ほど待っていたが電話はかかって来なかった。


子供相手に何やってるんだろう。


なんであんな事したのか自分でも分からなかった。


プルルルル。


夜遅くに携帯がなった。


知らない番号からの電話に僕は手が震えた。


もしもし。


そう言うと、可愛らしい声が携帯から流れてきた。


「あの、私ソランといいます。えっと・・・。」


遺族の会で会った子だよね?ソランって言うの?


「・・・はい。」


どうしたの?困った事あった?


「・・・眠れなくて。ごめんなさい・・・こんな時間に。」


語尾がどんどん小さくなる声がとても愛おしいと思った。


ううん。電話くれてありがとう。僕も眠れなくて困ってたんだ。


僕達は気づけば3時間ほどお喋りをしていた。


彼女の母親の事、僕の両親の事。


話しをして分かった。


やっぱり僕達は同じだったんだ。

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まゆ(プロフ) - 月未さん» こちらこそお返事頂きありがとうございます!開いて通知がある度にドキドキしながら読ませていただいてます。これから先も楽しみにお待ちしています。 (2018年7月6日 21時) (レス) id: b9973d6c0e (このIDを非表示/違反報告)
月未(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます!返信遅くなってすいません。まさかコメント来てるなんて夢にも思わず……。まだ続きますが、読んでいただけるとありがたいです! (2018年7月6日 19時) (レス) id: afa78a382c (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - ソランちゃん メンバーに愛され、オッパにも逢えて…号泣です。素敵なお話をありがとうございます (2018年6月30日 0時) (レス) id: b9973d6c0e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月未 | 作成日時:2018年6月22日 23時

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