SVTSide THE8 ページ30
あの人は、いつだって僕の欲しいものを、求めているものをくれた。
「ミンハオ、どう?美味しい?」
「はい・・・美味しいです」
「そう?良かった」
知らない人に知らない言葉だらけ、そんなの分かってて韓国に来たのに、何も理解できない自分が大嫌いだった。
韓国に来たとこを後悔したことだって、なかったと言えば嘘になる。
それでも僕が逃げずにいられたのはあの人のおかげだった。
韓国料理も美味しいけれど、故郷の味が懐かしく思うとやっぱり寂しくなる。
そんな時、あの人はいつだって僕にご飯を作ってくれた。
どうやって連絡をとったのか、僕の母親にレシピを聞いて僕が好きだった料理を作ってくれた。
完璧に同じとはいかなくても、よく似た味は僕の寂しさを埋めてくれた。
「あの・・・今日は早く帰ってきた?じゃなくて、来ます?か?」
「なるべく早く帰るようにするね」
「・・・ごめんなさい」
「どうして謝るの?」
「・・・・・・」
「眠かったら寝てていいからね?」
「・・・はい」
寂しかった。
1人でいることが。
寂しかった。
僕の気持ちをわかってくれる人がいなくて。
寂しかった。
ジュニヒョンに頼ることが怖くて頼れなくなって。
優しいジュニヒョンは僕を気遣ってくれるけれど、自分だってまだ韓国語を勉強中だ。
僕にばかりかまけている訳にはいかない。
迷惑になりたくなくて、面倒な奴だと思われるのが怖くて、僕はジュニヒョンに頼れなくなっていた。
そんな時、夜中に眠れなくて、1人でこっそり泣いている僕にあの人は気づいてくれた。
「一緒に寝てもいい?」
「・・・・・・」
「勝手に入っちゃおーっと」
「・・・うるさい、くて?ごめんなさい」
「・・・ううん、あぁ、ミンハオ冷たいね」
「・・・?」
「ふふっ、さぁ今日はもう寝よう」
狭い布団の中であの人は僕を抱きしめてくれた。
バイトから帰ってシャワーを浴びたばかりのあの人はほんのり温かくて、冷たかった僕の体が少しずつ温まっていくと眠気が襲ってきた。
そんなことが何度かあって、それでもあの人は僕に泣いている理由なんて1度も聞かなかった。
何も言わず、ただ抱きしめるだけ。
それだけなのに、いつの間にか寂しい気持ちが薄れていった。
何にも上手くいかなくても、その日の夜がくれば僕はまた頑張れるような気がしたんだ。
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月未(プロフ) - ruru_chandayo00さん» コメントありがとうございます!全然更新してなくて申し訳ないです(/. _.\)ゆっくりとではありますが続きを書いていますので、アップするまでもう少々お待ちくださいʕ ◦`꒳´◦ʔ (7月17日 10時) (レス) id: c1de91fe05 (このIDを非表示/違反報告)
ruru_chandayo00(プロフ) - 素敵すぎます!!更新楽しみにしてます! (7月13日 22時) (レス) @page8 id: 9f9b345cea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月未 | 作成日時:2023年4月17日 6時