託した想い ページ47
ジョンハン
日付が変わる頃、部屋の扉の向こうがドタドタと慌ただしい雰囲気なる。
あぁ、あいつら帰ってきたのか。
扉から顔を出すとちょうどアキが目の前を通る所だった。
AK「ヒョン！ただいま」
「おかえり･･･ハルは？」
AK「スンチョリヒョンのとこ！」
「そうか･･･テレビ観てたんだけど、お疲れ様」
AK「うん！あ、もしかしてハルに用事？戻って来たらヒョンの所に行くように言おうか？」
「いや、いいよ。あいつも疲れてるだろうし･･･ハルにもお疲れ様って言っといてよ。あと、歌、すごく良かったって」
AK「もう、自分で言えばいいのに(笑)」
「いいんだよ」
今回、年末の音楽祭に俺とスンチョルは参加しない。
メンバー達が朝から慌ただしく出ていったのを部屋で見送った。
「･･･寝るか」
"コンコンッ"
ベッドに横になったと同時に扉を叩く音がして返事をするとゆっくりと扉が開き、ハルが顔を出した。
なんだよアキの奴、呼ばなくてもいいって言ったのに･･･。
HR「･･････」
「おかえり」
HR「･･･ただいま」
「そんなとこ突っ立ってないで入れよ」
扉の前で立ったまま動かないハル。
何だか元気がない気がする。
まさか音楽祭でトラブルが？それともまた誰かに嫌がらせでもされたか？
あぁ、心配だ。
HR「･･･ごめんなさい」
「は？何で謝るんだよ」
HR「今日の音楽祭、テレビで観てたんでしょ？私が上手く出来なかったから叱る為に呼んだんじゃないの？」
「･･･はぁ？」
今日の音楽祭で俺のパートをハルに頼んで歌ってもらうことにした。
ハルはパートの少ない自分を気遣ってだと思っているけどそれは違う。
俺が聞きたかったんだ、ハルの声を。
俺の好きな･･･ハルの歌声を。
日本デビューした時に出したボーカルチームの曲は練習用にとハルに声入れしてもらった。
その歌声を何度も何度も俺は聞いた。
レコーディングが終わった後、ウジに頼み込んで貰ったデーターを俺は今でも大切に持っている。
スングァンも同じように隠し持っていると知ったのはVLIVEであいつがバーノンと勝手に流した時だ。
きっとドギョムもシュアもウジから貰っているだろう。
それほどハルの歌声は素晴らしかった。
また聞きたかったんだ。
録音されたものじゃなくて、あの頃より少し大人になったハルの歌声を。
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作者名：月未
| 作成日時：2020年6月21日 8時
