・ ページ30
バーノン
「頼りにしてるよ」なんて笑えば、掴んでいた手を振り払われた。
･･･ちょっと意地悪しすぎたかな。
「ごめん」
HR「･･･許さない」
「本当にごめん」
HR「うぅ〜ボノナはずるいよ」
「何で？」
HR「そんな顔で謝られたら怒るに怒れないじゃん」
そんな顔ってどんな顔だろう？
ぺたぺたと自分の顔を触ってもよくわからない。
HR「あ〜ぁ、イケメンは得ですね〜」
「褒めてくれてありがとう」
HR「くそっ、嫌味にならなかったか」
「ん？」
イケメンは嫌味だったの？
でもほら、ハルに言われたら誰だって嬉しくなるじゃん。
振りほどかれた手をもう一度手にとり、今度は裾をめくってハルの指をぎゅっと握る。
握られた事に驚いているのか口をぽかーんと開けたまま俺の顔と手を何度も交互に眺め、諦めたようにそっぽを向いた。
「さぁ行こうか」
HR「うん･･･」
「あっ、言っとくけど迷子になってないからね」
HR「･･････」
プクーっと膨れた顔をしてトコトコとついてくる。
韓国じゃこんな風に出かけるなんて出来ないよな〜。
元々ハルはアキ無しじゃ俺達と出かけてくれないし･･･いや、最近はドギョミヒョンと2人でカフェにいってるか。
そのドキョミヒョンはアキが指名したって聞いたし。
「･･･もしかして、アキに許可とらないとハルとは出かけられない？」
HR「え？」
「さっきアキと何か話してたでしょ？」
HR「あー、うん。一応行ってもいいか聞くけど･･･ダメとは言われないと思うよ」
「じゃあまた誘ってもいい？」
HR「う〜ん、いいけど、行くかどうかは気分次第だよ？」
「なら美味しいコーヒー置いてるとこ探さなきゃ」
その辺の女の子なら美味しいケーキやインスタ映えしそうなお店にでも行けばいいけど、ハルは中々ハードルが高い。
コーヒーなんて好みは人それぞれだからね。
少し歩いて目的のお店に着くと、ふんわりと香るコーヒーの匂いにハルの顔が綻んでいく。
「ここね、昨日スングァンと散歩してる時に見つけたんだ」
HR「そうなんだ！いいとこ見つけたね〜」
嘘、見つけたのはスングァンで俺じゃない。
「ハルが好きそうだ」「誘ってみようかな」なんて言うから先に出し抜いてやった。
あ〜、きっと戻ったらスングァンが怒るんだろうな。
目を釣りあげて、口を尖らせて愚痴愚痴と怒るスングァンを想像してちょっと罪悪感が。
･･･でもまぁいいか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 321人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月未
| 作成日時：2020年6月21日 8時
