眼鏡 ページ1
ウォヌ
ピコピコ。
携帯ゲームに夢中になっているといつの間にかハルが目の前に座っていた。
HR「ねぇオッパ、また目悪くなったの？」
「いや、別に」
HR「でも最近よく眼鏡かけてるよね？撮影でもかけてること増えたし」
「あー、そりゃお前･･･まぁ気分的なもんだろ」
本当はお前が俺の眼鏡を掛けてる姿がかっこいいと言ったから、なんてさすがに恥ずかしくて言えないわ。
つかなんだ？
かっこよすぎて見惚れたか？
そうだろ、なんてったって俺だからな。
口元がニヤつくのを抑え、ゲームをクリアすると俺の顔に白くて小さな手が伸びて来た。
HR「･･･ぎゃっ、目が！！」
「悪くもないのに眼鏡なんかかけたらそうなるだろ」
HR「頭がクラクラする〜」
そんなにめちゃくちゃ強い度でもないはずなのに、気持ち悪いと眼鏡を俺に返すハル。
けど、その眼鏡を付けずにハルの顔をじっと覗き込む。
HR「な、何？！」
「ん？いやほら、眼鏡なしでどこまで近づけはお前の顔がはっきり見えるかな〜って」
HR「えー？！こんなに近づかないと見えないの？」
「そうだな、出来ればもっと･･･」
HR「ま、待って･･･近い･･･近･･･ちょっ、」
本当はもうとっくに見えているのに、見えないなんて嘘をついてどんどん顔を近づける。
あと15cm、その距離を縮めてしまえばハルの唇に俺の唇が触れてしまう。
顔が真っ赤に染まり横を向いて口をとがらせるハルを見て、やりすぎてしまったかと一瞬焦る。
HR「オッパ、目が悪くなりすぎ！ゲームのやりすぎは良くないよ！」
「そうか？でも、ハルを近くで見れるぞ？」
HR「それに何の意味が？」
「ないけど、でも見たいじゃん」
HR「？？？」
首を傾げて訳が分からないって顔をするハルが面白くてつい笑ってしまう。
「･･･おい、何だよ」
HR「仕返しだ！！」
「は？お前さ、それ仕返しになると思ってんの？」
HR「やーー！･･･痛い！！」
さっきのし返しだと勢いよく俺の顔に自分の顔を近づけすぎて、2人のおでこがぶつかる。
地味に痛いぞこれ。
「ウォヌオッパが虐めるーー」と酷い濡れ衣を着せたハルは、赤くなったおでこを抑えてどこかへ消えて行った。
･･･よし、次はこれでからかうか。
最近は首や腕を噛んでもなんの反応もしなくなったし、また新しくからかう材料が出来たとまたもやニヤリと緩む口元を抑え、俺はまたゲームに目を向けた。
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作者名：月未
| 作成日時：2020年6月21日 8時
