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Side Ym
古びたドアが呻き声を上げながら開いた。
"あっ、蝉ーーーー!!
また俺に会いたくて来たの?"
ちょっと前までは暑苦しいと思ってた出迎えがないとこんなにも静かなんだ。
知りたくなかった。
昨日去り際に置いてっちまった俺の銀のナイフも留守電を知らせるケータイもそのまんま、
いつもなら裕翔が使ってるごちゃごちゃな机の上に乗っかってた。
ピカピカ光るケータイを手にとって耳に当てた。
『…ザザザザ…
ゲホッ、…蝉…』
思いもよらなかった相手で冷たい機会を握る手に力がこもる。
『っ今まで…ごめん、ね…』
ぷつっ
土砂降りの背景音と共に終わってしまうメッセージ。
声を忘れたくなくて何度も何度も再生ボタンを押し続けた。
もう何度聞き直したかわからなくなったころ、
床に一滴の雫がこぼれ落ちた。
それは連なって二滴、三滴とどんどん落ちてって、
それが自分の流したものだと気付いたのはしばらく経ってからだった。
なんだこれ。
止まんねぇ。
今まで数え切れないほどの人を殺めて来たんだ。
俺は冷酷な殺し屋だぞ?
「っ、…うぁ、」
乾ききった目から涙なんて出るはずない、
「、うぁああああっ!!」
.
出るはずないんだ。
.
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聖月 - 面白いです!更新頑張ってください (2019年6月5日 18時) (レス) id: e9dd353aa0 (このIDを非表示/違反報告)
シャンデリア(プロフ) - わたがしみたいになりたいさん» ありがとうございます!(^^) (2017年10月20日 14時) (レス) id: 1d18390c64 (このIDを非表示/違反報告)
わたがしみたいになりたい - おもしろいです! (2017年10月19日 20時) (レス) id: 52424801fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャンデリア | 作成日時:2017年9月27日 23時