蝉の1週間 arym

19 The Past ページ19

Side Ym







「くっそ、見つかんねぇ。」


そうぼやきながら瞼に滴る汗を拭ったのは裕翔と別れて6日ほどたった昼。







休日でもないのに街にはやけに人が多いし、

何より暑い。


しかも裕翔の野郎、

荒瀧に関する情報少な過ぎんだよ！



ジリジリと迫る太陽を手で遮りながら心中でぶちぶちと悪態を吐く。









それと言った期間はないが、


なるべく早く

“出来れば2週間以内”




ここ数日で少ない手がかり頼りに荒瀧らしき影は何度か目撃していたが、


いくら追いかけてもすぐに見失っちまう。









さすがトップ様は違うってか。









一旦裕翔んとこ戻って情報叩き出して来るか。

あいつ絶対メールに送られてきただけよりもっと知ってやがる。




荒瀧の居場所さえ今日中にわかれば明日確実に殺せるし、


調べたり考えたりするのは得意じゃねえ。





ここで追い続けてもいつまで経ったってらちがあかない。







握りしめていたナイフをポッケにしまい、

フードを深く、





深くかぶった。






再び嫌う人混みの中をまっすぐ突き通る。









［「蝉」発見。追跡開始］





なんで気付けなかったんだろう。





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