【呪術廻戦】呪術とギャル-0.2-

108：一喜一憂 ページ8

まず一発…ッ

確実に叩き込むと、ヤオビクニは夢浮橋の衝撃に耐えられず後方に大きく吹っ飛んだ。
靴箱に突っ込み、ヤオビクニの体はそのまま三つも靴箱を破壊した。

夢浮橋なら、Aの力でも特級を軽々と飛ばす事が出来る。
Aは浅く呼吸を整え、土煙の先に目を凝らした。


ヤオビクニは…、どうなった…！？


祓えた感覚はない。
だが、今の衝撃で無傷は流石にないだろう。

希望は腕をぶっ飛ばしてる事、致命傷なら最高。
さぁ、姿を見せてみろヤオビクニ…ッ
ぎり、とAの奥歯が鳴ったその時、土煙の奥で人影が浮かび上がった。

「特級呪具もその程度…それとも、貴方の力不足、かしら？」

赤い唇を吊り上げて、ニタリと笑うヤオビクニの姿にAは間抜けに口を開けた。
嘘だろ。Aの顔が物語る。
出てきたヤオビクニは、腕が吹っ飛んでいるどころか無傷であった。

ヤオビクニは くすりと妖艶に笑って返す。

「特級は反転術式も特級」

Aの額に冷や汗が滲んだ。
やっべ…そう思った矢先、視界からヤオビクニが突然消えた。

「…ッ」

しくった、やられた…ッ！！
思ったと同時、Aの体は大きく飛び数分前のヤオビクニと同じように靴箱を三台破壊することになった。
おかげで、玄関口の靴箱は全て薙ぎ倒されてしまう。
木材と化した靴箱の上で、Aは息を急いで整える。
顔半分が生暖かい。
額を切ったのか。

だが、怪我を気にしている暇なんて毛頭ない。

「やっぱ、呪具二つは機動力が格段に落ちるな…＿＿＿＿＿＿ッ！！？」

呟いて上空、現れたのはヤオビクニ。
Aは転がるようにヤオビクニの蹴りを避ける。
ヤオビクニの蹴りはとんでもなかった。

滑るように体制を立て直したAは、目を丸くする。
おいおいマジかよ。

自分が先ほどまで居た場所には、一本の亀裂が入っていた。
それは木材を抉り、その下の地面に一本の亀裂を入れ床から壁へそして窓を破り止まっていた。
顔が青褪めていくのを感じる。
冗談辞めてくれよ。

もはや、引き攣った笑いしか出来ない。

「笑ってる場合じゃあなくてよ」

そう声が聞こえたかと思い見れば、ヤオビクニはいつの間にか自分の側に居たのだ。
にこりと笑って、プールから顔を出すように床から出して。
ゾワッと瞬間的に全身が栗立ち、Aは気づくと這うようにその場から逃げていた。


「一旦タンマッッッ！！！！！！」


あんなのにどうやって私が勝つんだよ、ばぁぁぁぁかッッッ！！！！！

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