140：呉越同舟 ページ40
鳥の後ろから、時折琵琶を掻き鳴らし斬撃を飛ばす呪霊も中々の腕だ。
一体、どっちが吉祥が使役する呪霊だ…？
しかしそれ以前に、鳥の速度に悠々と追いつき刀を振るう男は何者なのだろうか。
高専所属だろうが、フリーだろうが、夜蛾はある程度把握している。
それに、このレベルの手練れならば知られていないなんて事は無いだろう。
夜蛾が戸惑っていると、戦い続けていた男が横目で夜蛾の姿を捉えた。
男の獣のように鋭い瞳と目が合う。
思わず、夜蛾は空気を張り詰めさせた。
何故なら敵なのかどうかすらも分からないからだ。
男の視線を縫い、鳥が鋭い爪が備わった両足を向ける。
男が傷を負う事はない。なんて反射速度だと言わんばかりに、すぐに夜蛾から視線を逸らし刀で受ける。
少しの押し問答があり、攻め立てる鳥の足と刀の峰がガチガチと音を鳴らした。
今だと言わんばかりに、斬撃が二つ三つと男へ飛び出す。
それでも男は追い詰められたような顔をしない。
男の逞しい腕に血管が浮かび上がり、力任せに鳥の足を押し弾き、そのまますぐに体制を立て直し斬撃を弾く。
なんて対応力。そして、力。
普通の人間がよく対応できるものだ。いや、普通の人間ではないかもしれない。
「アンタ、」
突然、男が夜蛾へと声をかけた。
今自分に声をかけたのか、夜蛾は驚き混じりに意識を男の方へ向ける。
男は、再び鳥との交戦を繰り広げていた。
「Aのなんだ？」
男の口から、まさに探している人物の名が出てきた。
やはり、この男がAの協力者か。
どんなパイプを持ってるんだ、あのクソガキは。
社交性だけは呪術界一と言っても過言でない我が生徒を思い出しつつ、夜蛾は男の言葉へ返した。
「担任教師だ」
そして、それを言った後夜蛾は急いで付け足す。
「アイツの味方だ」
言うと、男は横目で夜蛾を値踏みするよう見た。
暫くの緊迫した空気があり、男は意味ありげに「へぇ」と呟くと、口の端を吊り上げた。
「上にいる」
男は3階へと伸びる中央階段へ向け顎をしゃくった。
そしてすぐに、視線を戻し鳥とサルの相手を始める。
夜蛾は男が示した中央階段の先へ目を向けた。
この男が何者か。Aとの関係は。一体その強さは。
山ほど聞きたいことがあったが、今は男の言葉を信じて向かうしかない。
「恩にきる」
夜蛾は短く男へと告げると、中央階段へ走った。
邪魔なく迎えたのは、男が自分への足止めを全部叩き斬ったおかげだった。
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鼻毛太郎(プロフ) - がろさん» コメントありがとうございます！！当時かなり気合い入れて書いていたので、褒めて頂けてとても嬉しいです😭🤍 毎回満身創痍バトルしてますが、ぜひぜひ手に汗握ってお楽しみ頂ければ幸いです！！ (2月10日 16時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
がろ - 戦闘シーンが凄く引き込まれます！手に汗握っちゃいましたw とっても面白かったです😊 (2月9日 22時) (レス) @page37 id: 22f975986f (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ぴくさん» ありがとうございます、とても嬉しいです！！💜次章でもコメントを頂いていて、励みになります…！😭残り少ない1年生編ですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです (2022年4月23日 0時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぴく(プロフ) - 設定とかキャラとかしっかり作り込まれてて、気づいたら一気読みしてます。応援しています！ (2022年4月23日 0時) (レス) @page39 id: 8f6e3156ea (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - Chaosさん» 本編の方でもコメント頂き、こちらでも…！！嬉しい限りです💜🥺2頁でやれることを5頁ぐらいでやってますが、そろそろこちらも一区切り着きそうです。ぜひ、最後までお楽しみ下さい！！ (2022年1月28日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2021年12月25日 12時
