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135:世界平和 ページ35

口元を歪めて、凶悪とも笑顔ともとれない、しかし底知れぬ狂気と悪意を携え何かは笑みを浮かべる。
Aはそいつを前に、顎を少しだけ持ち上げて佇む。

笑わず、静かに冴え冴えとした面持ちで待ち構えていた。

ざ、何かが一歩踏み出す。

「君___A、これからの世界について興味ないかね?」

「あ?」

Aは片眉を上げる。
何か、何かと呼ぶのもそろそろ紛らわしいが、この吉祥の中身が男なのか女なのかも分からない。

「この世界の未来だよ。今の若い人間は、過去の話よりも未来の話の方が好きだろう?」

また一歩踏み出す。
ゆっくりとAに近づいていく。
Aはだからといって退かない。

「呪術で新たな可能性へと人類が進化する未来。成功すれば、君の想像する素敵な未来がやってくるだろう。特別だ、君はその中でなら好きなように過ごしてくれて構わない。私は、君を特別視してるんだ」

何かは続ける。

「だが、それには君の力が必要でね。これはまだ可能性だが、君は将来的に“神同等の能力”を自在に扱えることになるだろう。“以前の君”はそうだったからね。最適な未来のために、私に手を貸してくれ。世界平和の一角になれるんだ、光栄なことさ」

そう言って、何かはAの目の前で片手を差し出した。
この手を握るといい。最後に付け足した何かの言葉は、まるで催眠のような力を感じさせた。

Aはその手を見て、じっとしていた。

好きなように過ごせる。
それって、私がまた普通の女の子みたいに過ごせるってことだろうか。
普通の女の子に戻って、遊んで、夢だったネイリスト目指して、それになって、沢山の人達がキラキラになれる手伝いをする。
私、多分誰かを幸せにしてあげたりとか、素敵にしてあげる事が好きなんだろうな。
それを、誰にも邪魔されず出来るってことかな。


「君の幸せを保証してあげよう」


「幸せを、保証」


Aは、洗脳でもされたよう無機質に復唱した。

でも、考えるのだ。

その幸せは、私だけの幸せであって私の周りの人間の幸せは保障されているのかと。

その幸せの中に、皆はいるの?


「_______から、」


「…?」


Aは顔を上げて、目を剥いた。



「悪ぃ、馬鹿だから何言ってっかわかんねーわ」


瞬間、二人の狭間で力同士がぶつかり合った。

136:虚虚実実→←134:最終戦争



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鼻毛太郎(プロフ) - がろさん» コメントありがとうございます!!当時かなり気合い入れて書いていたので、褒めて頂けてとても嬉しいです😭🤍 毎回満身創痍バトルしてますが、ぜひぜひ手に汗握ってお楽しみ頂ければ幸いです!! (2月10日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
がろ - 戦闘シーンが凄く引き込まれます!手に汗握っちゃいましたw とっても面白かったです😊 (2月9日 22時) (レス) @page37 id: 22f975986f (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ぴくさん» ありがとうございます、とても嬉しいです!!💜次章でもコメントを頂いていて、励みになります…!😭残り少ない1年生編ですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです (2022年4月23日 0時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぴく(プロフ) - 設定とかキャラとかしっかり作り込まれてて、気づいたら一気読みしてます。応援しています! (2022年4月23日 0時) (レス) @page39 id: 8f6e3156ea (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - Chaosさん» 本編の方でもコメント頂き、こちらでも…!!嬉しい限りです💜🥺2頁でやれることを5頁ぐらいでやってますが、そろそろこちらも一区切り着きそうです。ぜひ、最後までお楽しみ下さい!! (2022年1月28日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年12月25日 12時

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