127：曲直正邪 ページ27
降りかかった声に、二人は上を見上げた。
現在二人が居る二階から、次の階を悠々に見渡せる吹き抜け。
その吹き抜けを囲う柵にいつに間にかそいつは居た。
柵に腰掛け、菅笠を押し上げこちらを見下ろす一匹のサル。
Aはそいつを前にして、瞳を小さくし眉を吊り上げた。
「サルマネ…ッ」
「一日と数時間ぶりですかな。どうです、体の具合は、というのは聞くまでもないですか。その体でよく動けるものだ」
へぇ、なるほど。Aを品定めするよう眺めるサルマネ。
今更、彼を前にしてAはどんなに小馬鹿にされようがどうでもよかった。
Aはとうの昔に、この一匹の呪霊にキレているのだ。
全身の毛が逆立つような感覚。
コイツをぶん殴らないと気が済まない。
Aはギリと奥歯を噛み締めて、サルマネに近付こう足を踏み出す。
「馬鹿、待てAッ！」
今にも殴り掛からんとするAの前に、甚爾は飛び出す。
どけオッサン！とAは甚爾を押し退けようとしたが、それを甚爾が易々と許すはずがない。
「話聞けA！！」
Aの肩を掴み押し戻す。
しかし、Aもそれでは引き下がらなかった。
剥き出しの怒りをそのままに、Aは大きく声を上げる。
「オッサン止めんなッ！！いいか、アイツは尾道を殺した！それだけじゃない、尾道の死体を道具みたいに扱った…ッゴミ以下の最低野郎だッ！！絶対に許さねぇ、私が殺さなくて誰が殺すんだよッ！！」
だから今すぐに退け。
Aは最後に大きく付け足して、甚爾を力任せに振り切ろうとした。
アイツを殺さないと、尾道が浮かばれない。
アイツを殺すのは私だ。
膨らみ、はち切れそうになる殺意の塊。
「落ち着けアホッ！！！」
高鳴ったのは、甚爾の声だった。
「お前はすぐ頭に血が昇るとこ治せ！」
「あ゛ぁ！！？」
なんで今そんな事言われなきゃいけねーんだよ。
Aが思って、甚爾に顔を向けたその時、額を甚爾が強めに小突いてきた。
鈍い声が漏れ出るA。
「あのなぁ、乗せられてんだよ。お前は、あのサルに」
サルマネに向かって、甚爾は親指をくいっと向ける。
Aは額を摩って不服気な顔で甚爾を見た。
「それでもいいよ別に」
「良かねぇ。意地はんな、クソガキ。学園に来て、一体何分経ってる？」
甚爾はため息混じりにAに尋ねた。
突然言われて、Aは呆けた顔を見せる。
Aの瞳から、殺意の塊が姿を消しかけていた。
「さっきから俺の携帯が鳴ってる」
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鼻毛太郎(プロフ) - がろさん» コメントありがとうございます！！当時かなり気合い入れて書いていたので、褒めて頂けてとても嬉しいです😭🤍 毎回満身創痍バトルしてますが、ぜひぜひ手に汗握ってお楽しみ頂ければ幸いです！！ (2月10日 16時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
がろ - 戦闘シーンが凄く引き込まれます！手に汗握っちゃいましたw とっても面白かったです😊 (2月9日 22時) (レス) @page37 id: 22f975986f (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ぴくさん» ありがとうございます、とても嬉しいです！！💜次章でもコメントを頂いていて、励みになります…！😭残り少ない1年生編ですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです (2022年4月23日 0時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぴく(プロフ) - 設定とかキャラとかしっかり作り込まれてて、気づいたら一気読みしてます。応援しています！ (2022年4月23日 0時) (レス) @page39 id: 8f6e3156ea (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - Chaosさん» 本編の方でもコメント頂き、こちらでも…！！嬉しい限りです💜🥺2頁でやれることを5頁ぐらいでやってますが、そろそろこちらも一区切り着きそうです。ぜひ、最後までお楽しみ下さい！！ (2022年1月28日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2021年12月25日 12時
