115:危急存亡 ページ15
Aは怒号を響かせ、甚爾に構うこと無くぶっ飛ばしたヤオビクニの方へ歩いていく。
固いコンクリートの階段に全身をぶつけたヤオビクニは、何が起こったのかを必死で把握しようと浅く呼吸を繰り返していた。
早く、早く反転術式で、早く治さなくては…!
しかし、Aがそれを待ってくれる訳では無い。
「何が出来るとか、何が出来ないとか、私には分かんねぇよッッ!!!よく分かんねぇ世界で、まず生きるのに必死なのに、なんでその先の事をあーだこーだ言われなきゃいけねぇんだよッッ!!!」
鼻下の血を拭うと、頬にまで血が伸びてしまった。
Aにはもうそんな事関係ない。
「命張って、毎日毎分毎秒こんなはずじゃなかったって後悔して、友達には相談も出来ねぇし、今だってずっと恐怖が張り付いてる……呪術師なんて…ッやりたく無かったに決まってんだろッッ!!!」
だがなァッ、Aは大きく声を上げて真っ直ぐヤオビクニに向かって人差し指を差し向けた。
「その手段を全うしなきゃ、私が目指す目的には辿り着けない…!血反吐吐いてでも、泥水を啜ったとしても、私は吉祥に再び出会う為なら絶対にこの運命から逃げねぇぞ…ッ!!!」
ヤオビクニがゾンビのようにゆっくりと体を起き上がらせる。
瞳は完全に据わり、溢れ出る殺意は禍々しく鋭い。
Aから絶対に目を離さず、彼女との間には間違いなく何年越しの狂気のような因縁が生まれていた。
「…お前の死体を、吉祥様の前で晒し上げてやる……地獄の方がマシだと思える程残虐な姿のなァ可借夜Aッッ!!!」
ヤオビクニの顔が突然ひび割れ、彼女の姿が変わっていく。
髪が硬化したかと思えばアンモナイトの殻を想像させる装甲に変わり、口は裂け、下顎は外れ、長い舌は蛇のように二股に別れている。
衣服の概念などもうそこには無く、二本の美しかった足は魚類の尾に変わったが、筋肉がむき出しになった腕を前にすれば人魚なんて美しいものには最早見えなかった。
まさに化け物。
特級呪霊の完全なる姿。
ヤオビクニの本来の形。
しかし、Aはもう逃げなかった。
黒い呪力を帯びた拳を握り、片足を引く。
真っ直ぐと逸らすことなく変わり果てたヤオビクニを見据え、強い声音で叫んだ。
「やってみろォッッ!!!!」
ヤオビクニが勢いよく床の中に潜り込み、Aの周りを跳ねるように巡る。
「さァ、何処から狙ってやろう___かッ!」
飛び上がって現れたのは、Aの目の前。
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鼻毛太郎(プロフ) - がろさん» コメントありがとうございます!!当時かなり気合い入れて書いていたので、褒めて頂けてとても嬉しいです😭🤍 毎回満身創痍バトルしてますが、ぜひぜひ手に汗握ってお楽しみ頂ければ幸いです!! (2月10日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
がろ - 戦闘シーンが凄く引き込まれます!手に汗握っちゃいましたw とっても面白かったです😊 (2月9日 22時) (レス) @page37 id: 22f975986f (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ぴくさん» ありがとうございます、とても嬉しいです!!💜次章でもコメントを頂いていて、励みになります…!😭残り少ない1年生編ですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです (2022年4月23日 0時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぴく(プロフ) - 設定とかキャラとかしっかり作り込まれてて、気づいたら一気読みしてます。応援しています! (2022年4月23日 0時) (レス) @page39 id: 8f6e3156ea (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - Chaosさん» 本編の方でもコメント頂き、こちらでも…!!嬉しい限りです💜🥺2頁でやれることを5頁ぐらいでやってますが、そろそろこちらも一区切り着きそうです。ぜひ、最後までお楽しみ下さい!! (2022年1月28日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年12月25日 12時