112:蜘蛛ノ糸 ページ12
____。
やっぱ、完全に避けるのは難しいか。
駆ける甚爾の肩を、噴き出た雨柱が掠めた。
鉈で掻き切られたかの如く血が噴き出す。
甚爾は満身創痍だった。
至るところに傷が出来ていたのは、全てところかしこから現れる雨柱のせいだ。
この雨柱は、まるで火山口からマグマが勢いよく噴火するかの如く勢いで水を発射する。
床から、横から、天井から。
場所は問わない。
ただ、この雨柱が噴射するまでには幾つか条件があるのを甚爾は見つけ始めていた。
「まず一つ目…」
その場で滑るように止まると、床に溜まっていた水が飛沫となって飛ぶ。
水は甚爾の体を濡らした。おかけで、甚爾の体はずぶ濡れだ。
アメフラシが鳴くと、再びザァッと大ぶりの雨がやってくる。
甚爾の体が一層雨で濡れていく。
「この雨なら俺に被害はねぇ…だが、」
甚爾は雨の向こうのアメフラシに向かってクナイを投げる。
クナイは勢いよく甚爾の手から放たれ、アメフラシの方へ真っ直ぐと向かう。
が、しかし。
クナイは次第にドロドロと溶けていき、最後にはアメフラシにも到達できず無惨に地に落ちるのだ。
拾うこともままならない程に溶けて。
甚爾はため息混じりに、最後のクナイを放り投げた。
やっぱり溶けていく。
「一本うん千万としたんだがなぁ…」
格納呪霊も今は出すことができない。
何故なら、この雨が降っている間は呪力あるものは溶けるからだ。
「最初の鎖もクナイも、やっぱ呪力があったからナメクジ呪霊には到達出来なかった。それに加え、呪霊本体もこの雨には入る事ができない。恐らくそれは、縛りとして“呪力有る者”を指すからだろう」
その為、呪力のない俺は奴にとって天敵という事になる。
“そこまでは”最初の読み通りだ。
「二つ目。この雨は、ただ呪力を感知し溶かすだけじゃない」
ヒントは、俺が雨柱の攻撃をどうしても受けてしまう事にある。
「この雨は、対象を必ず溶かす為にもう一つ仕掛けがあった。それは、雨に当たった相手の動きを徐々に遅くしていくっつーこと」
雨の中から甚爾が出ていく。
アメフラシとの距離が最初に逆戻りだ。
だがそれでいい。
「雨の中に入った対象の動きを無差別に鎮静。その後、呪力有る者を溶かしていく…なぁにがナメクジだ。やってくることは蜘蛛と一緒だぜ」
網にかかった獲物の動きをまずは抑え、そこから自身の好みを喰っていく。
甚爾は格納呪霊を出し、游雲を取り出した。
やっぱり、コイツしかない。
727人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鼻毛太郎(プロフ) - がろさん» コメントありがとうございます!!当時かなり気合い入れて書いていたので、褒めて頂けてとても嬉しいです😭🤍 毎回満身創痍バトルしてますが、ぜひぜひ手に汗握ってお楽しみ頂ければ幸いです!! (2月10日 16時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
がろ - 戦闘シーンが凄く引き込まれます!手に汗握っちゃいましたw とっても面白かったです😊 (2月9日 22時) (レス) @page37 id: 22f975986f (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ぴくさん» ありがとうございます、とても嬉しいです!!💜次章でもコメントを頂いていて、励みになります…!😭残り少ない1年生編ですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです (2022年4月23日 0時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ぴく(プロフ) - 設定とかキャラとかしっかり作り込まれてて、気づいたら一気読みしてます。応援しています! (2022年4月23日 0時) (レス) @page39 id: 8f6e3156ea (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - Chaosさん» 本編の方でもコメント頂き、こちらでも…!!嬉しい限りです💜🥺2頁でやれることを5頁ぐらいでやってますが、そろそろこちらも一区切り着きそうです。ぜひ、最後までお楽しみ下さい!! (2022年1月28日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年12月25日 12時