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152:ギャルと冷めやらぬ ページ2

バイクは地面と、真人と衝突し、激しい爆風を巻き起こす。
さながら、CGと疑っても可笑しくないほど派手な光景であった。

炎を撒き散らし、メラメラと燃え盛る。

Aは炎になど目もくれず、悠仁へと駆け寄った。

Aは切迫した表情で、悠仁に尋ねる。

「順平は…!?」

「…っ、」

尋ねた瞬間、悠仁の顔が強張った。
眉を歪ませ、歯を食いしばり、詰まるような息を無理やり吐き出し、瞳が揺らぐ。
悠仁の表情に、Aは最悪の事態を脳裏に過ぎらせた。
信じたくない自分が、悠仁へ回答を求める。

悠仁は、吐き出すように言った。


「無理、だった…ッ」


ヒュ、と喉の奥がなった。
悠仁は今にも泣きそうで、でもここで泣いてはダメなのだと歯を食いしばる。
口の端から、歯を食いしばるがあまり血が伝う。
拳が小さく震えていた。

「形、変えられて、俺、」

悠仁の声が震えている。

「あははっ、順平の話?遅いよぉ、可借夜A」

爆風を片手で払い除け、真人が現れる。
衣服は炎の中で燃えたのか、半身が露わになっていた。

真人は楽しげに笑っている。
なんて悪意の篭った笑い声だろう。


「もっと早ければ見れたのに。順平の滑稽な姿がさ」


その時、Aの中でグツグツと何かが煮えたぎった。
悪意の篭った笑い、馬鹿にしたような声。
Aは瞳を小さくさせた。
瞳から光が消え、表情から一切の感情が姿を消し、殺意だけが宿る。


「お前今、笑ったな?」


ひぃひぃと笑う真人へ言うAの声音は、低く、まるで地獄の底から響くような声音だった。

「え?あー、思い出してさぁ、」

再び笑い出す真人。
Aはつかつかと歩き、真人の前まで来た。
そして、真人が尋ねるが前に彼の胸ぐらを掴むと、Aは殴った。

右頬にストレートに入った拳。
真人は口から唾と血液を撒き散らす。
体勢を立て直す前に、またAの拳が入る。
今度は左頬。

「おいおい、」

殴る。

「君、」

殴る。

「思わず、」

殴る。

「我を、忘れてるよ」

黙れよ。

Aは、真人の腹部に打撃を加え殴り抜ける。
吹っ飛んだ真人。Aは肩で息をする。

冷めやらない怒り。
殺すなんて、惜しい。
殺して終わりなんて狡い。

あの子(順平)はあんなにも苦しい思いをしたのに、お前は、お前は。


「なぁんだ、」

背後から声がした。

「君って、もっと割り切るタイプかと思った」

「A…!!」

悠仁が叫ぶ。

「泣きそうな顔とか、するんだ」

153:ギャルと魂の差→←151:ここまでのおさらい



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鼻毛太郎(プロフ) - 華花。さん» コメント有難うございます!これでいいのか...?と悩む時期が続いていた中、温かいコメントを頂けて本当に泣くほど感謝してます;;現在5章目を製作中なので、しばしお待ちを…!今後もギャルと呪術を宜しくお願い致します! (2021年4月21日 11時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - いつも緊張して送れませんでしたが初コメント失礼します!もう作者様は言葉選びから構成まで最高すぎます…素敵な作品を生み出してくれてありがとうございます! (2021年4月20日 23時) (レス) id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年3月1日 0時

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