179:ギャルと復帰 ページ29
煩い五条は無視をして、七海はマイクを一瞥する。
「…それが?」
楽巌寺といえば、京都校の学長だ。
Aと壮絶に仲が悪いのは界隈でも有名な話。
何をしでかすつもりだこの人。
「ジジィ、きっと怒って血管切れて死んじまうだろうな〜!私、おじいちゃんが泣いちゃうなら何でもするんだ〜!」
うっとりとした顔で、物騒なことを言い退けるA。
この人に同じ血が流れているとしたら、それはさぞどす黒いんだろうなと七海は思ってしまった。
Aが呪術師で本当に良かった。これが一般人であったら、イカれすぎだ。
Aと五条が結果的に何を企んでいるのかは分からないが、七海はこれ以上聞く気にはなれなかったので「はぁ、そうですか」と生返事をし英字新聞に戻った。
「先輩聞いてる?先輩??ねぇ、ねぇ!!」
「悟煩い」
「ところで、」
七海が唐突に声を上げた。
Aと五条は七海を見る。
「虎杖君を本当に復帰させるんですか?交流会で存在が公になれば、また上層部に狙われるのでは?」
七海の言う通り、悠仁は今日から行われる交流会で本格的に復帰させる。
元より、悠仁が今まで身を隠さねばならなかったのは上層部による行いが原因だ。
五条は「何時までも匿うってのは、流石に出来ないでしょ」と返す。
それに、とAが続いた。
「この数ヶ月、悠仁を扱いたのは私と悟だよ?もう簡単には殺されないね」
Aは、悪巧みが成功したかのように意地の悪い顔で顎を撫でた。
そういうこと、五条がご機嫌に付け足す。
「その辺は、七海が1番よく分かってんじゃない?」
五条は言った。
その言葉に、七海は「違います」なんて言葉を返す事は出来なかった。
確かに、今の虎杖君ならば____、
「せんせーーい!!!」
三人の思考をぶった切るかの如く、嵐のようにやってきたのは件の人物虎杖悠仁。
キキーッとブレーキ音を響かせ、悠仁は三人の前で止まった。
「お!Aにナナミンも居る!2人共おっはよーー!!」
「おっはよーー!悠仁クン元気で宜しい!」
Aは上機嫌に片手をあげ、悠仁に返した。
「うん、俺もう超元気!!Aも先生も、皆のとこ行くよな!?なぁなぁ、早く行こうぜ!」
キラキラと目を輝かせ、誰が見ても分かるほどのワクワク加減。
期待と興奮が体中から染み出ている。
それもそうだろう。彼は誰よりもこの日を待ちわびていたのだから。
五条とAはその姿に顔を見合せた。
そして、にたぁと笑い合う。
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鼻毛太郎(プロフ) - 華花。さん» コメント有難うございます!これでいいのか...?と悩む時期が続いていた中、温かいコメントを頂けて本当に泣くほど感謝してます;;現在5章目を製作中なので、しばしお待ちを…!今後もギャルと呪術を宜しくお願い致します! (2021年4月21日 11時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - いつも緊張して送れませんでしたが初コメント失礼します!もう作者様は言葉選びから構成まで最高すぎます…素敵な作品を生み出してくれてありがとうございます! (2021年4月20日 23時) (レス) id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年3月1日 0時