127:ギャルと博士の勘 ページ27
七海はAに言われた通り、家入硝子へと連絡をした。
映画館内の事務室で、彼らは雨を凌ぎながら硝子の話を聞く。
七海も、後々気づいたものの硝子が突きつけた事実は、それはもう残酷なものであった。
彼ら三人を襲った呪霊。
三匹は、解剖と調査の結果元は“人間”なのだと判明した。
話を聞く七海と悠仁。
合間、Aが事務所内へと戻ってきた。
「硝子、お疲れ」
Aは戻った事を彼女に知らせるよう、通話口へ呼びかける。
「あぁ、先輩も。どうでした、研究室の方は」
「駄目だね。ウチの研究室じゃ、この手は取り扱ってないよ。あまりにも特殊事例だからねぇ」
Aはつい先程まで、自身が持つ研究チームへと連絡を入れていた。
Aは、本来イギリスのロンドンに研究室を構えている。
彼女を筆頭に、何名かの研究員を抱えるAはチームに情報提供を求めた。
しかし、事例があまりにも特殊だ。
まともな収穫はない。
「資料はチームに回したけど、解明できるとは思えないな」
Aはソファーの肘置きへ座る。
「私達が戦った相手は、呪霊の様に呪力がありました。お二人共、そこはどう考えていますか?」
七海が尋ねた。
「そうだな…明確にこれだとは言えないが、不可解なのは脳幹に弄られた形跡がある事だ。そこのところ、A博士はどうお考えで?」
態とらしい硝子のフリに、Aは「その呼び方慣れねぇ〜」と肩を竦めて見せる。
「脳を弄るってのは、かなり腕あると思うよ。脳を騙すのは簡単だけど、直接はね…。ただまぁ、職業柄論文には目を通す事多いんだけど、脳に関する論文はまだまだ少なくてね」
Aの口調は、普段の気だるげなものとは違い“博士”の口調であった。
「犯人の目星は?」
「術式により改造されたのは間違いない。けど、呪詛師ではないだろうね。到底、人間が想像出来る倫理観を優に越えてる」
この言葉に、七海も硝子も異論は無かった。
Aの言葉を聞き終えた硝子は、「虎杖は居るか?」と尋ねた。
突然名指しされた悠仁は、少し遅れて返事をする。
「こいつらの死は、君が殺したからじゃない。その辺り、履き違えるなよ」
「はい…」
口では返事をしていたが、声音はとても弱々しいものであった。
Aは静かに煙草を咥える。
ジッポの音が雨音に混じり、煙草の先をゆっくりと燃やす。
心が削れ静かに燃えるようチリチリと赤が揺らめく。
最近、煙草の減りが早いな。
Aは煙草を燻らせる。
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鼻毛太郎(プロフ) - あーるさん» コメントありがとうございます!🙌原作があんな感じなので、いいでしょとぬるっと入れてます笑笑気づいて楽しんで下さる方が居るなら幸い…!更新速度遅めですが、ぜひ今後も宜しくお願いいたします🤍😌 (7月4日 17時) (レス) @page25 id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
あーる(プロフ) - 夢主のジャジャン拳発言に笑ってしまいました…原作も「これ絶対ハンタ意識してるだろ」って所あるし、赤どこかいている作者さん…色々浮かんでしまいました。笑。2作とも更新頑張ってください! (7月4日 17時) (レス) @page25 id: b1f847ba2a (このIDを非表示/違反報告)
世も末 - 返信ありがとうございます。鼻毛太郎様がお考えになる設定めちゃめちゃ好きなので、桐壺と夢浮橋のお披露目楽しみにしてます(;_;)!!(直哉のお話も楽しく読ませて頂いています)お体にお気を付けて、鼻毛太郎様のペースで更新頑張ってください(/*´ `)/ (2021年2月23日 3時) (レス) id: 6fde9aa103 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 世も末さん» 桐壺と夢浮橋、この2つの呪具はなんと今後も本編にて登場します!ちなみに、予定は攻略会にてです!とはいっても、1つのみしか出てこず(夢浮橋は壊れたので)…ですが、0の方では両方出ます!オリジナル呪具ですが、姿も形も一応は決まっていてお披露目が楽しみです…! (2021年2月21日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 世も末さん» コメントありがとうございます…!戻ってきて下さる事がとっても有難い;;かなり修正も完了して、今は漸く幼魚と逆罰に突入を果たせました…これから訪れる地獄に、先輩が耐えられるか否かを描くのがとっても楽しみです...!丁寧にお返事返したいので、長くなります! (2021年2月21日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年1月18日 0時