【呪術廻戦】ギャルと呪術-3-

116：ギャルとターミネーター ページ16

そういうと、お姉さんは堪えきれないという感じに吹き出した。
超ウケる、と笑っている。
僕からしたら何もウケなかったけど。

お姉さんは笑いながら僕に話しかける。

「随分攻撃的だねぇ、少年は。残念だけど、お姉さんは虐めるほど同級生居なかったよ。クラスメイト私たった1人だったんだもん」

お姉さんは酔っていたのかもしれない。
クラスメイト1人で成り立つ学校なんて、相当特殊な学校だけだ。
お姉さんは変わってるけど、人間としては普通だと思う。

「お姉さんが君を助けたのはね、本当に偉いなぁと思ったからだよ。君さ、絶対相手に手を出さなかったじゃん。基本的に世の中ってのは、どんなに相手が悪くても手を出した時点で同等のランクに持ってかれるんだよ」

お姉さんは、どうやら僕が庇う所からずっと見ていたらしかった。
だったら最初から助けて欲しかったなと思ったけど、お姉さんに褒められるのは悪くなかった。

「まぁー、私なら手出しちゃうけどねぇ」

「お姉さん、強かったですしね」

「まぁね、ギャルだかんね」

「ちょっと意味わからないんですけど」

「君も、強くなったら？」

突然言われて、僕はパスタから顔を上げた。
お姉さんの顔は笑っていたけど、冗談を言っているようには見えなかった。

「手を出したら同等だけど、黙って殴られてるのって痛いじゃん。痛みに耐える方が正義って考え、ちょっと狡いよね」

お姉さんはお酒を少し飲む。

「少年、君はもっと世の中に抗ってみるといい。弱肉強食なら、好き好んで食われる側なんて選ばないっしょ？成長しなきゃ」

お姉さんの顔は猫みたいだな。

「なぁに、恐れることは無いよ。偉大な人物は、生まれた時から偉大な訳じゃないんだから」

「それ、ゴッドファーザーの台詞でしょ」

「おっ！少年は映画が好きなのか」


そこからお姉さんと凄くどうでもいい話をしていた気がする。
映画の話が多かったかな。
お姉さんはアクションばかり見るらしくて、泣ける映画はあんまり見ないんだとか。

昔、後輩と泣ける恋愛映画を見た時、ボロボロに泣いてるのを見られたのが恥ずかしかったんだって。




僕らは本当にご飯だけを食べ終えて別れた。
お姉さんは青い丸サングラスを掛け直しながら、最後に僕へこう言った。

「I'll be back(また戻ってくる) 少年」

キリッとした顔で言うのが可笑しくて、僕は「それターミネーターだろ」と笑いながら返したっけ



以降、お姉さんとは会っていない

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