059：ギャルと正体 ページ9
｢…それって、指を喰えば話は別ってことか？｣
｢さぁな｣
ここまで言っておきながら突き放され、悠仁は｢ちょっと待てぇ！！｣と体を起き上がらせようとした。
｢さぁなってなんだよ！！今の俺では、って言っただろうが！！｣
｢椅子が起き上がろうとするな｣
体重をかけられ、悠仁は赤みがかった液体に再び沈む。
｢嘘は言っていない。だが、対処は分かる。ただ、確証は持てんという話だ｣
悠仁はそう言う宿儺の顔を垣間見た。
確かに、嘘は言ってなさそうな気はする。
元より、宿儺は嘘をつくぐらいなら話すらしてこないような奴だ。
悠仁は素直に｢確証は持てんって…どういう事だ｣と尋ねる。
｢全盛期の頃、俺はあの土地神に負けた｣
｢……！！｣
悠仁は息を飲んだ。
宿儺が、負けた…？
｢負けたから、Aを殺さねばならなかった｣
｢待て。待て待て待て！！お前さっきからちょっと可笑しいとは思ってたが、話の辻褄も合わなくなってきたぞ！？お前の全盛期って……千年以上前だよな！？その時代にA…？｣
さっぱり分からない。
そうだ、そうなのだ。
宿儺がAを知っているなんて、考えても見ればおかしな話。
Aは、今この時代を生きる人間。
呪われてはいるが、呪霊ではない。
同時、宿儺はふんと笑った。
｢さて小僧、本題だ。全ての力が戻れば、小娘の呪いを解いてやろう。………だが、お前が条件を呑まんかぎりは何も進まん。どうする？｣
悠仁は顔を顰めた。
最悪の取引だ。
二つの条件を呑んだ時、宿儺が何をするかは分からない。
だが、この条件を呑まない限り自分も宿儺も現世に戻ってくることは出来ない。
それ即ち、Aの呪いを解く方法を宿儺が知ってようが、もうどうする事も出来ないという事になる。
宿儺が背から退き、悠仁は立ち上がる。
｢……Aの呪い、解けるのかよ｣
｢言っただろう。一度負けたが、対処は分かると。ただ少し、謎が残っているがな…。そこを解明出来れば、何とかなるだろう｣
悠仁は宿儺をじっと睨んだ。
宿儺は至極真面目な顔をして、最後に付け足した。
｢小僧、俺が何故あの小娘に対しここまでするのか言ってやろう｣
それは、千年以上前の話。
｢Aは、昔この俺が育て自ら殺したガキ。＿＿＿＿それの、生まれ変わりだ｣
彼らは再び、引力により引き合った。
＿＿＿＿。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1452人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鼻毛太郎(プロフ) - Reginaさん» コメントありがとうございます！遊びに来て頂き誠に嬉しいです😭🤍作品の楽しみ方も、書いている側としてはとても嬉しく、本当余すことなく楽しんで頂けてとってもらぶ…… 本編、まだまだ続きますが、是非楽しんでいってください！！ (2月1日 12時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
Regina(プロフ) - 高専編から読ませていただいて本編に来ました！内容はもちろんのこと、毎度イメソンが天才すぎてイメソン聞きながら読み返したりしてます！エンディング波のゆくさきで考えていらしたのも物語の深さにマッチする曲だと思うのですごく感動しました！！応援してます！ (2月1日 11時) (レス) @page50 id: c70aaf3a6d (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 伝説のパンダさん» コメントありがとうございます！！いえいえ、全然大丈夫ですよ！！4本もシリーズがあるので、流石に間違えることもありますよね...私でさえ「これ3だっけ、4だっけ」ってなるので…0の方も読んでいただきとっても嬉しいです！！まだまだ続くので、今後もお楽しみに！ (2021年3月8日 9時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
伝説のパンダ - 申し訳ありません。４のほうにコメントしたつもりが、なんらかの手違いでこちらにコメントを飛ばしてしまったようです。本当に失礼なことを…次はもう少し興奮が引いたときにコメントします…すみません…。 (2021年3月8日 8時) (レス) id: ec9a309dee (このIDを非表示/違反報告)
伝説のパンダ - もんのすごく面白いです！！！夢小説はめったに読まないので、まぁ暇つぶしに…と思って読み始めたのがこちらの作品で、不覚にも大沼にハマってしまいました…本当に好きです！０のほうのお話、パパ黒大好きなのでそちらも凄く好きです！今後も応援してます！ (2021年3月8日 8時) (レス) id: ec9a309dee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2020年12月19日 3時
