056:ギャルと生得領域 ページ6
___到底、現世とは思えない地。
その辺りを見るたびに、悠仁の中に”死んだ”という現実だけが突きつけられる。
そして、それを突きつけられる度に腹が立つのだ。
俺は、”こいつ”のせいでこうなった。
悪魔崇拝なのか、地獄の獄卒なのか、牛の頭蓋骨を屍の山のように積み上げたその上。
自身が積み立てた玉座に悠々と座る”こいつ”を悠仁は睨みつけた。
「許可なく見上げるな。不愉快だ、小僧」
「なら降りてこい…見下してやっからよ」
腹立たしい事この上ない。
両面宿儺___そう、自身の中に居着く宿儺のおかげで死んだのだ。
「ここは?地獄か?死んでまでお前と一緒か!?」
足元に転がっていた、牛の頭蓋骨を持つと悠仁は積み上げられた山へとぶん投げた。
頭蓋骨は飛び散り、山が崩れると宿儺もその玉座から退散する。
悠仁もそれを承知だ。
彼目掛け走り、拳を振りかぶって放った。
しかし、宿儺とて一筋縄ではいかない。
呪いの王が、ただで殴らせてくれるはずはないのだ。
余裕綽綽で悠仁の拳を受け流す。
勿論、それも承知。
宿儺の拳と掠りあった瞬間、悠仁はそのまま彼の足元を強く殴った。
悠仁とて、いつまでも学習しないわけじゃない。
「…はなから足場を、」
ぐらりと揺れる地に、宿儺は体勢を崩す。
悠仁はニタリと笑うと、勢いよく片足を振った。
宿儺の足を掠め取る。
だが
彼がハッとし気づいた頃には宿儺の姿は無く、悲しくも悠仁は水なのかよく分からない液体と顔を合わせることになった。
こんなはずじゃなかったんだけどな。
「ここは生得領域だ。地獄ではない」
宿儺が地面にへばり付く悠仁の上に座ると、「ぐぇっ」と悠仁が鳴いた。
「心の中、と言い換えてもいい」
「しょう、とく……Aが授業の時に言ってたやつか」
呟くと、珍しく宿儺が「あの小娘、教師なのか」と尋ねてきた。
あ、食いついた。と悠仁は思った。
珍しい事だ、宿儺はいつだってつまらんだのなんだの文句をぶつけてくる。
「教師っつーか…非常勤。いつも居る訳じゃないんだ……待った、宿儺もしかしてああいうのが好み!?いや確かに、Aは綺麗だけどギャル専だったとは、いででででッ!!!」
「本当に死にたいのか、小僧」
首を力任せに掴まれ、悠仁はじたばたともがいた。
ちょっとしたジョークでしょうが。
「あの小娘、何者だ。”闘神”か?」
「とう、…は?なんだそれ」
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鼻毛太郎(プロフ) - Reginaさん» コメントありがとうございます!遊びに来て頂き誠に嬉しいです😭🤍作品の楽しみ方も、書いている側としてはとても嬉しく、本当余すことなく楽しんで頂けてとってもらぶ…… 本編、まだまだ続きますが、是非楽しんでいってください!! (2月1日 12時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
Regina(プロフ) - 高専編から読ませていただいて本編に来ました!内容はもちろんのこと、毎度イメソンが天才すぎてイメソン聞きながら読み返したりしてます!エンディング波のゆくさきで考えていらしたのも物語の深さにマッチする曲だと思うのですごく感動しました!!応援してます! (2月1日 11時) (レス) @page50 id: c70aaf3a6d (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 伝説のパンダさん» コメントありがとうございます!!いえいえ、全然大丈夫ですよ!!4本もシリーズがあるので、流石に間違えることもありますよね...私でさえ「これ3だっけ、4だっけ」ってなるので…0の方も読んでいただきとっても嬉しいです!!まだまだ続くので、今後もお楽しみに! (2021年3月8日 9時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
伝説のパンダ - 申し訳ありません。4のほうにコメントしたつもりが、なんらかの手違いでこちらにコメントを飛ばしてしまったようです。本当に失礼なことを…次はもう少し興奮が引いたときにコメントします…すみません…。 (2021年3月8日 8時) (レス) id: ec9a309dee (このIDを非表示/違反報告)
伝説のパンダ - もんのすごく面白いです!!!夢小説はめったに読まないので、まぁ暇つぶしに…と思って読み始めたのがこちらの作品で、不覚にも大沼にハマってしまいました…本当に好きです!0のほうのお話、パパ黒大好きなのでそちらも凄く好きです!今後も応援してます! (2021年3月8日 8時) (レス) id: ec9a309dee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年12月19日 3時