054:ギャルと雨後 ページ4
煙草はまだ半分も吸っていなかったし、火もついていた。
Aの拳が震えている。隙間から、細い煙が登った。
「A先輩…」
硝子が呟く。
「こうでもしないとさ…怒りが収まんないんだわ。今、自分を抑えるのに必死なんだよね」
怒りを痛みに変換して、気を紛らわす。
煙草はすでに拳の中で潰れているというのに、Aはまだそれを強く握っていた。
力が増して、掌に爪の形がくっきり残るぐらい。
「…
隠すことのない怒り。
「呪術って、そういうもんじゃねーよな」
呪術のあり方を、本気で考えた事がある人間の言葉であった。
重苦しい部屋で、空気ファンだけが規則正しく音を立てる。
_____。
同時刻。
「つまり、君達のボスは今の人間と呪いの立場を逆転させたいと」
ファミレス4名がけの席。
夏油と漏湖は向かい合い会話していた。
漏湖の前には、当たり前だが水入りのグラスはない。
「まぁ、大体はな。偽物は消えて然るべきだろう…ッ!」
漏湖は横目に客である人間を見て述べる。
語の強さに反応し、頭部がぐつぐつと煮え立つ。
「だが、現状消されるのは君たちの方だ」
「だから貴様に聞いているのだ。我々はどうすれば呪術師に勝てる…」
問う漏湖の横には、少し離れて花御と陀艮が座っている。
言わずもがな、漏湖含め彼らは呪い。呪霊である。
問われた夏油は、袖から腕を出し漏湖の前で指を2本立てた。
「2つ、条件を満たせば勝てるよ。いや…3つ、かな」
思い直し首を捻る夏油に、漏湖はなんだと顔を顰めた。
夏油は顎に手を添えたまま話す。
「1つは、呪術師最強の五条悟を戦闘不能にすること。2つ、両面宿儺…虎杖悠仁を仲間に引き込むこと。……でも、この場合どっちにしても“とある問題”にぶつかるんだ」
「可借夜Aとかいう呪術師か…」
夏油はごもっとも、と肯く。
「知っての通り、彼女には正体不明の土地神が憑いている。五条悟が、匙を投げた呪霊だ。…最も恐れる展開は、呪霊が可借夜Aを取り込み誰も手が付けられず全てが終わる展開」
これは避けたい、と夏油は続ける。
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鼻毛太郎(プロフ) - Reginaさん» コメントありがとうございます!遊びに来て頂き誠に嬉しいです😭🤍作品の楽しみ方も、書いている側としてはとても嬉しく、本当余すことなく楽しんで頂けてとってもらぶ…… 本編、まだまだ続きますが、是非楽しんでいってください!! (2月1日 12時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
Regina(プロフ) - 高専編から読ませていただいて本編に来ました!内容はもちろんのこと、毎度イメソンが天才すぎてイメソン聞きながら読み返したりしてます!エンディング波のゆくさきで考えていらしたのも物語の深さにマッチする曲だと思うのですごく感動しました!!応援してます! (2月1日 11時) (レス) @page50 id: c70aaf3a6d (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 伝説のパンダさん» コメントありがとうございます!!いえいえ、全然大丈夫ですよ!!4本もシリーズがあるので、流石に間違えることもありますよね...私でさえ「これ3だっけ、4だっけ」ってなるので…0の方も読んでいただきとっても嬉しいです!!まだまだ続くので、今後もお楽しみに! (2021年3月8日 9時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
伝説のパンダ - 申し訳ありません。4のほうにコメントしたつもりが、なんらかの手違いでこちらにコメントを飛ばしてしまったようです。本当に失礼なことを…次はもう少し興奮が引いたときにコメントします…すみません…。 (2021年3月8日 8時) (レス) id: ec9a309dee (このIDを非表示/違反報告)
伝説のパンダ - もんのすごく面白いです!!!夢小説はめったに読まないので、まぁ暇つぶしに…と思って読み始めたのがこちらの作品で、不覚にも大沼にハマってしまいました…本当に好きです!0のほうのお話、パパ黒大好きなのでそちらも凄く好きです!今後も応援してます! (2021年3月8日 8時) (レス) id: ec9a309dee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年12月19日 3時