053：ギャルと殺意 ページ3
Aは気が済むまで、五条の頭を掻き混ぜる。
されるがままの五条。
もうこの人の気が済むなら、どうでも良かった。
確かに、この人はこうしてここに戻ってきてくれたんだし。
「アンタこそ、勝手に居なくならないでよね」
五条は荒れた前髪から瞳を覗かせ、「誰に言ってんのさ、僕五条悟だよ？」と返してやった。
この僕が、勝手に居なくなるわけないでしょ。
先輩の隣、他人に空けるわけないじゃん。
Aはにっと笑う。
「うん、知ってる。知ってるよ、お前は誰よりも五条悟だからね」
＿＿＿＿。
煙草を口に咥え、Aと硝子は悠仁の顔を覗き込んだ。
後ろからは、ぎしと音が聞こえる。五条が空いていた検死台の上に腰を降ろした音だった。
隣で、伊地知が黙って佇んでいる。
彼を筆頭に、各自から重たくも諦めた空気が漂っていた。
「死んでる？」
Aは硝子の顔を見る事なく尋ねた。
「見た通りだ」
硝子は言いながら、悠仁にかけられた布を捲った。
死体は血を拭われ綺麗に処理されていた。
まるで寝てるみたいだ。
しかし、胸元にポッカリと空いた穴だけが現実を突きつける。
Aは言葉混じりに紫煙を吐き出す。
「一年二人は？……同級生が死ぬのは初めてだろ」
抑揚の少ない声音だった。
淡々として、静かで、低く、静かな怒りが滲んでいる。
問われてはいたが、敢えて誰も言葉を返さなかった。
Aが手を伸ばし、悠仁の前髪をさらりと撫でる。
そして、大きく紫煙と息を天井に向けて吐き出すと、へらりとした笑みを浮かべて言った。
「上、殺すか」
伊地知が短い悲鳴をあげかけると、咄嗟に口を手で塞ぎ飲み込む素振りを見せた。
悪意など一切ない、恐ろしい程に無邪気な笑みでAは言ったのだ。
「それ、さっき僕も言った」
五条が悠仁の死体を見にくるのは、二回目である。
Aが目覚め、そしてまた見にきた。
一回目の時は、五条も冷静さをかなり欠いていた。
「じゃあ、二人でサクッと殺っちゃおう！私らだったら、秒だよ！」
清々しいまでの殺意。
硝子はうんざりとした顔で「やめてくれ、洒落にならん」と吐き出した。
伊地知も同じ意見だ。
この二人なら、本当に”秒”を実行できるのだから怖い。
無下限と凌駕万有。
空間系術式の中では、この二つが頂点だ。
「だってさぁ、」
倫理観も無しに、Aは悠仁の死体が乗る検死台に腰掛ける。
「殺す以外、方法あんの？」
吸っていた煙草を、Aは握り潰した。
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鼻毛太郎(プロフ) - Reginaさん» コメントありがとうございます！遊びに来て頂き誠に嬉しいです😭🤍作品の楽しみ方も、書いている側としてはとても嬉しく、本当余すことなく楽しんで頂けてとってもらぶ…… 本編、まだまだ続きますが、是非楽しんでいってください！！ (2月1日 12時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
Regina(プロフ) - 高専編から読ませていただいて本編に来ました！内容はもちろんのこと、毎度イメソンが天才すぎてイメソン聞きながら読み返したりしてます！エンディング波のゆくさきで考えていらしたのも物語の深さにマッチする曲だと思うのですごく感動しました！！応援してます！ (2月1日 11時) (レス) @page50 id: c70aaf3a6d (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 伝説のパンダさん» コメントありがとうございます！！いえいえ、全然大丈夫ですよ！！4本もシリーズがあるので、流石に間違えることもありますよね...私でさえ「これ3だっけ、4だっけ」ってなるので…0の方も読んでいただきとっても嬉しいです！！まだまだ続くので、今後もお楽しみに！ (2021年3月8日 9時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
伝説のパンダ - 申し訳ありません。４のほうにコメントしたつもりが、なんらかの手違いでこちらにコメントを飛ばしてしまったようです。本当に失礼なことを…次はもう少し興奮が引いたときにコメントします…すみません…。 (2021年3月8日 8時) (レス) id: ec9a309dee (このIDを非表示/違反報告)
伝説のパンダ - もんのすごく面白いです！！！夢小説はめったに読まないので、まぁ暇つぶしに…と思って読み始めたのがこちらの作品で、不覚にも大沼にハマってしまいました…本当に好きです！０のほうのお話、パパ黒大好きなのでそちらも凄く好きです！今後も応援してます！ (2021年3月8日 8時) (レス) id: ec9a309dee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2020年12月19日 3時
