検索窓
今日:50 hit、昨日:38 hit、合計:781,922 hit

064:ギャルと獄門疆 ページ14

「特級呪物だよ。それを使う」

漏湖は目を見開いた。

「あの…獄門疆だと…!!?」

前のめりになり、夏油へと詰め寄る漏湖。
彼の頭部で炎が煮えたぎった。
夏油は「熱くなるな」と冷静に諭すが、ならずにはいられない。

獄門疆は、誰もが欲する忌み物だ。
だが、今まではそう簡単に手に入れる事は出来なかった。

何故なら、”獄門疆は長年『可借夜 綺羅』が保持していたのだから”

「何故貴様が持っている!?可借夜Aの母親……その女が持っていたのではないのか!?」

言いながら、漏湖ははたと気づいた。
そういえば、可借夜 綺羅は随分昔に死んだはず。それも、獄門疆をめぐり。

「まさかッ………」

漏湖は息を呑んだ。
目の前の夏油は何も言わない。ただ、妖しく笑みを浮かべるだけで。

皆まで言うな。

彼の笑みが全てを物語っていた。

漏湖の口元が自然と引き上がっていく。
そうか、そうなのだな。
漏湖は注文を聞きに来たウェイターを”焼く”

最初に気づいたのは、同僚のウェイトレスだった。
目の前で人が燃えているなんて事は、普通の日常を過ごしている時点で滅多にない。
思考が一瞬停止したウェイトレスだが、その後すぐに本能的に叫び声を上げていた。

恐怖と警鐘。

どちらの役割も持つ叫び。

「あまり騒ぎを起こさないでほしいな」

「ではこうしよう」

漏湖が立てた二本指を振ると、現場はすぐに地獄へと変わった。
店内に居た人間が次々に発火する。
理解する暇もなく、人々は燃える。

地獄など誰も見た事は無かったが、ここを地獄と呼ばずになんと呼べばいいのか。

夏油は煙たさに咳き込み、「高い店にしなくて良かったよ」と皮肉混じりに呟いた。

「熱くさせたのは貴様だ。……夏油、儂は宿儺の指何本分だ?」

たった一人、地獄で生き残ったウェイトレスが床を這っていく。
タイツが破けていた。関係ない、誰か助けてほしい。

「甘く見積もって、八、九本分かな」

「充分!」

漏湖は黒い歯を見せ叫んだ。

「獄門疆を儂にくれ。蒐集に加える。その代わり___五条悟は儂が殺そう」

五条悟を獄門疆で封印だと?
勿体ない。

「可借夜Aは、言わずもがな貴様にやろう」

「有難いね」

夏油は笑う。
漏湖はその貼り付けたような笑みを見て、「ふん、よく言う」と呟いた。

「はなから、渡す気などないくせに」

「うん、無いよ」

顎の下で、夏油は手を組む。

「可借夜Aは、誰にも渡さない」


最後の一人が、燃え上がった。

065:ギャルと循環→←063:ギャルと骨抜き



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (499 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1452人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 夏油傑 , 五条悟
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

鼻毛太郎(プロフ) - Reginaさん» コメントありがとうございます!遊びに来て頂き誠に嬉しいです😭🤍作品の楽しみ方も、書いている側としてはとても嬉しく、本当余すことなく楽しんで頂けてとってもらぶ…… 本編、まだまだ続きますが、是非楽しんでいってください!! (2月1日 12時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
Regina(プロフ) - 高専編から読ませていただいて本編に来ました!内容はもちろんのこと、毎度イメソンが天才すぎてイメソン聞きながら読み返したりしてます!エンディング波のゆくさきで考えていらしたのも物語の深さにマッチする曲だと思うのですごく感動しました!!応援してます! (2月1日 11時) (レス) @page50 id: c70aaf3a6d (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 伝説のパンダさん» コメントありがとうございます!!いえいえ、全然大丈夫ですよ!!4本もシリーズがあるので、流石に間違えることもありますよね...私でさえ「これ3だっけ、4だっけ」ってなるので…0の方も読んでいただきとっても嬉しいです!!まだまだ続くので、今後もお楽しみに! (2021年3月8日 9時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
伝説のパンダ - 申し訳ありません。4のほうにコメントしたつもりが、なんらかの手違いでこちらにコメントを飛ばしてしまったようです。本当に失礼なことを…次はもう少し興奮が引いたときにコメントします…すみません…。 (2021年3月8日 8時) (レス) id: ec9a309dee (このIDを非表示/違反報告)
伝説のパンダ - もんのすごく面白いです!!!夢小説はめったに読まないので、まぁ暇つぶしに…と思って読み始めたのがこちらの作品で、不覚にも大沼にハマってしまいました…本当に好きです!0のほうのお話、パパ黒大好きなのでそちらも凄く好きです!今後も応援してます! (2021年3月8日 8時) (レス) id: ec9a309dee (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年12月19日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。