【呪術廻戦】ギャルと呪術-2-

062：ギャルと雨上がり ページ12

あぁーもう、とAが安堵の声を大きくあげた。

｢言いたい事言ったから、スッキリした！｣

おもむろに、Aが片手をあげる。
彼女の顔は、普段の明るくからりとした表情に戻っていた。

｢悠仁｣

名を呼ばれ顔を上げると、Aが掌を見せていた。
｢ほら、悟も｣とAが五条の片手を掴み同じようにさせる。
一瞬わからなかった五条だが、「あぁ、なるほどね」とすぐに理解し笑みを浮かべた。

｢おかえり｣

合わせてもないのに、Aと五条の声が重なった。
悠仁はその言葉にニッと笑って、両手をあげる。
一つは五条へ、もう一つはAへ。

｢オッス、ただいま！｣

検死室に掌を合わせた音が響く。








寺院のような廊下を歩きながら、硝子は隣の五条に尋ねた。

｢じゃあ、虎杖がっつり匿う感じ？｣

｢いや、交流会までには復学させるよ。先輩とは相談済みだ｣

だから、報告書は死んだ事にしておいて、と五条は付け足した。
これは、五条と硝子と伊地知それとAだけの秘密にしよう、と。

｢今後、本格的に悠仁を指導する｣

｢五条が？｣

｢いいや、ビッグゲストだよ。先輩が指導してくれるんだ！｣

ぱんぱかぱーん！と五条は元気よく両手を広げた。
邪魔、と硝子はそのでかくて長い腕を払う。

｢何処がビッグゲストなんだ。…まぁでも、五条にA先輩の指導か…虎杖、無事で済むだろうか｣

硝子は天井を見上げる。
パワーのバランスの狂った二人に日夜振り回されるなんて、私じゃ耐えられんなと思ってしまう。

｢大丈夫だよ〜、先輩と同じで悠仁も近接パワー型だから！｣

｢スタンドみたいに言わないでくれるか？？｣

虎杖をなんとかプラチナにでも育てるつもりか。
硝子はため息混じりに、｢で、その当の本人は？｣と尋ねた。

｢上層部に乗り込みに行ったよ｣

ちょっと扱いてくるね♡と、ウィンクを残し去っていったAを思い出す五条。
すごーい、えっちな言葉に聞こえるーと脊髄反射で口に出した時には、Aはもう居なかった。

｢交流会前に、ヤキ入れてくるんだって。『次は、正々堂々宜しく頼みますよ』って。こわっ｣

｢楽巌寺学長だしな、相手は｣

京都校学長、楽巌寺嘉伸は上層部の人間であり虎杖悠仁処刑派の人間だ。
そんな人間が相手だと分かっているならば、Aが牙を剥かないはずがない。
汚い手は使わないが、何が何でも楽巌寺を泣かす気だろう。


それに＿＿＿＿


｢やっぱり、見逃せないんでしょ。こういうのは」

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