【呪術廻戦】ギャルと呪術-2-

099：ギャルと月光 ページ49

＿＿＿＿。


あれ、ここどこだっけ。



ぼやけた視界が徐々に鮮明になる。
暗闇の中で、視えすぎる瞳は室内の天井を映した。

凄く近い距離にAの匂いを感じて、漸く五条は思い出す。


あ、そうか
Aのベッドで寝てたんだっけ


勘違いしないで頂きたい。
別に、Aのベッドに無断で潜り込んだ訳ではない。
彼なら確かにやりかねないが、今回はしっかりとAの許可を得てベッドを借りた。

衝動で飲めもしない酒を飲み、案の定下戸なので早々に酔って、頭痛と吐き気に襲われ、Aにトイレに押し込まれ、吐いて、Aと七海に顔色が悪すぎると言われ。
それから、Aに「もうウチで泊まってきな」とベッドに押し込まれ、眠くなって寝てしまって。

「今に至る……」

ダッセぇ…
五条は額を片手で抑えた。
Aにキスしそうになった事を引き摺って、飲んだらこの気持ちも少しは紛れるかと思えばこの有様だ。


僕ってこんなにかっこ悪かったか？
グッドルッキングガイで自他共に認める顔の良さと最強なこの僕が？


「…」


でもなぁ、好きなんだけどなぁ


うつ伏せになり、枕に顔を埋めてみる。
もしかして最低な事をしてるかもしれないと思ったが、少女漫画でヒロインが相手のシャツの匂いを嗅いでいるのを過去に見たことがある。それと同じだろ。
まぁ、僕が少女漫画のヒロインかと言われるのはかなり癪だけど。

思いながら、呼吸をする。
変態ですか。
そうですか。
好きに言いなさい。

開き直るとこんなにも楽なんだなと五条は思う。
Aの前でも開き直れたら、どんなに楽か。

多分、一歩踏み出すの一歩は凄く小さいものなのだと思う。
けれど、前提として足が動かない。
一歩踏み出した先に居るAと、一歩距離を開けた場所に居るAは、きっと違う。

妙な琴線に触れて、Aを泣かせたくはない。

しかし、そろそろ我慢にも限界が来ている。
今日の”アレ”がまさにそれだ。
僕も、そろそろ腹を括らねばならないのかもしれない。


五条は、ベッドから降りる。
まずは行動。
Aは一体どこに居るんだろう、と寝室から出た。

リビングは灯りが落ち暗かった。
五条が寝た後も、Aと七海は酒を酌み交わしていたのだろう。
けど、その七海も流石に帰宅したようだ。
リビングの時計が、夜中の三時を指している。

ひたひたと裸足で歩く。

「先輩ってば…」

ソファーで寝こけるAを見つけた。

月明かりがAを照らす。

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