071:ギャルと反転 ページ21
「あ、そうだ」
Aがふと口を開く。
「怪我してる二人、硝子のとこ行って治して来てもらいな」
まだ体が軋むとはいえ、先程よりも回復した二人は立ち上がる。
野薔薇が泥を払いながら、「Aさんって、反転術式とか使えないの?」とふと尋ねた。
使えるなら、この場で治して貰いたいのが本音だ。
するとAは、「あー…」と申し訳なさそうに口を開いた。
「使えるっていうか…治癒は無理なんだよね。術式反転は出来るんだけど…ほら、私って壊すのは得意だけど修復するのは苦手だからさ」
Aらしいといえば、Aらしい。
引力が引き付け合う事とすれば、反転した場合は反発し合う事だろう。
基本Aは、パワーで押し切ることが専門だ。
だからこそ、治すほどの器用なことはできない。
あくまでも、Aが使う反転は”攻撃”としての反転だけである。
「素直に医務室行っとけ」
パンダがポンと野薔薇の肩に手を置く。
なぁんだ、と野薔薇は石階段に腰掛けた。
伏黒も、もう動く元気はない。同じように、石階段に腰掛けた。
「それじゃ〜、次は?二年やるか?」
まだまだ動く気のあるA。
視線を向けられた三人は、空気を張り詰めさせた。
彼ら三人も、未だAに勝ったことはない。
それに、Aは二年が相手なのだからと更にハードな稽古を仕向けてくるだろう。
いや、ガキ扱いされる方が癪だ。
やってやる。
三人が腰を浮かしかけたその時、Aの携帯が音を立てた。
「悟だ」
Aが通話ボタンを押しながら、耳に当てる。
「何?あー、うん。そ、稽古つけてんの。はぁ?アンタもつけられたいの?何、寝技メインで?」
なんの話をしているかは聞こえないが、大体察した野薔薇が呟く。
「変態教師」
「なんでアイツ捕まらないんだ?」
「俺もずっと思ってますよ」
真希の言葉に、伏黒も肯く。
「あー、呪骸ね!オッケー、借りてくるわ」
まだ五条が何か言っていたようだが、Aは気にも留めず通話終了を押す。
容赦ねぇな…とその場にいる誰もが思った。
「ごめーん!って訳だから、私行くわ」
Aが両手を合わせる。
二年三人は、折角稽古をつけてもらえると思ったのにと不服そうだったが、Aが絶対時間を縫って稽古をつけると約束してくれたので大人しく呑むことにした。
Aは約束を破らない。
三人はそれをしっかりと理解している。
「A、」
グラウンドを後にしようとするAに、真希がふと呼び止めた。
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鼻毛太郎(プロフ) - Reginaさん» コメントありがとうございます!遊びに来て頂き誠に嬉しいです😭🤍作品の楽しみ方も、書いている側としてはとても嬉しく、本当余すことなく楽しんで頂けてとってもらぶ…… 本編、まだまだ続きますが、是非楽しんでいってください!! (2月1日 12時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
Regina(プロフ) - 高専編から読ませていただいて本編に来ました!内容はもちろんのこと、毎度イメソンが天才すぎてイメソン聞きながら読み返したりしてます!エンディング波のゆくさきで考えていらしたのも物語の深さにマッチする曲だと思うのですごく感動しました!!応援してます! (2月1日 11時) (レス) @page50 id: c70aaf3a6d (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - 伝説のパンダさん» コメントありがとうございます!!いえいえ、全然大丈夫ですよ!!4本もシリーズがあるので、流石に間違えることもありますよね...私でさえ「これ3だっけ、4だっけ」ってなるので…0の方も読んでいただきとっても嬉しいです!!まだまだ続くので、今後もお楽しみに! (2021年3月8日 9時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
伝説のパンダ - 申し訳ありません。4のほうにコメントしたつもりが、なんらかの手違いでこちらにコメントを飛ばしてしまったようです。本当に失礼なことを…次はもう少し興奮が引いたときにコメントします…すみません…。 (2021年3月8日 8時) (レス) id: ec9a309dee (このIDを非表示/違反報告)
伝説のパンダ - もんのすごく面白いです!!!夢小説はめったに読まないので、まぁ暇つぶしに…と思って読み始めたのがこちらの作品で、不覚にも大沼にハマってしまいました…本当に好きです!0のほうのお話、パパ黒大好きなのでそちらも凄く好きです!今後も応援してます! (2021年3月8日 8時) (レス) id: ec9a309dee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年12月19日 3時