057: そういうことにしておこう ページ10
暫くヒソカの腕を引いていたが、彼の顔はまともに見れなかった。
「A、」
「…」
ヒソカが呼ぶ。
それでも、Aはつかつかと歩き続けた。どんな顔をして振り向けというのだ。
すると、今度は腕を引かれ、思わずAはヒソカの体に後頭部をぶつけた。
「A」
高い身長のヒソカが、Aの顎を掬い上げ自身と顔を合わさせる。
瞳の中に、ヒソカの端正な顔が映された。彼の顔をみると、より先程の言葉が恥ずかしくて仕方なくなる。
「くく、照れてるんだ♤」
「照れて、ない」
顔は真っ赤なはずなのに、それでも精一杯抵抗をしてみせる。
ヒソカはそんなAの言葉を聞くと、更に笑ってみせながら「いーや、照れてるよ♧」と言った。
「ボクのこと、助けてくれたんだ♢」
「ち、調子に乗らないで…。あれは、最悪の事態を思うとそうしなきゃいけなかったわけであって、別にあの言葉に意味なんてないんだから…!」
言えば言うほど、言い訳のように聞こえるというのに、口からは溢れる様に言葉が零れる。
「大体ッ、痕跡は一切残さない!暗殺の基本でしょ!?汚さない残さない楽しまない。いい?わかる?」
詰め寄ると、ヒソカは心底面白かったという顔を見せ「はぁい、善処しまぁす♡」なんて適当な返しをする。
くそ…誰のせいで…!
普段の自分ならば、この程度軽くあしらっているというのに。
ヒソカが普段と違うから、調子が狂っているのだとAは言い聞かせる。
「いつまで触ってんのよ、お触り禁止!!」
ヒソカの手を引き剥がし、距離を取る。
名残惜しいだのなんだの言われたが、構うものか。
「…放っておけばよかったのに。」
外へと出ながら、Aは言う。
現場にいつまでも残るのは、痕跡を残す事に直結する。
「以前殺した相手の同胞なんだってさ♢」
「珍しい。覚えてたの?」
「自分から名乗ってきた。君に手を出そうとしてたから、ムカついちゃって♡」
呆れた。
「別に、その辺の相手には今の私でも負けやしないわよ。」
そう言うと、ヒソカは「いいの」と言いながらAの手を引いた。
「君に手を出していいのはボクだけだから♢傷をつけるのも、殺すのもボクだけ♡」
そうでしょ?と、ヒソカは笑う。
本当に、呆れる。
Aはため息混じりに返した。
「冗談じゃない。」
なら、逃げちゃえばいいのに。
そう思うのだが、何故離れられないのだろうか。
あぁ、絶対。
全ては、この顔のせいだ。
そういうことにしておこう。
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鼻毛太郎(プロフ) - rinochan810さん» ありがとうございます;;とっっても嬉しいお言葉…!読みながらドキドキして下されば、夢書きとして本望です…!これから2人の関係が徐々に変化していくので、楽しみにしていてくださると有難いです! (2020年9月14日 23時) (レス) id: 2a028e4c13 (このIDを非表示/違反報告)
rinochan810(プロフ) - あの、本当に素敵です…ドキドキさせられてます…。いつも楽しみにしています。これからも応援してます…! (2020年9月14日 19時) (レス) id: 06f6601bca (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ミリさん» コメントありがとうございます!文章に関しては、普段文字量が詰め詰めで申し訳ない…と思いながら書いていたので、そう言って頂けると凄く嬉しいです;;今後も、更新が遅くなる日もございますが宜しくお願いいたします!! (2020年8月20日 17時) (レス) id: 16ef441d86 (このIDを非表示/違反報告)
ミリ - はじめまして。リメイク前の作品も読ませていただきました!!どちらも面白かったですし、文章も読みやすかったです。絵もステキですね!!!これからも読ませていただきます!!! (2020年8月19日 14時) (レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - Aaaさん» リメイク前の作品まで読んで頂けるとは…!とっても嬉しいですありがとうございます!!今後も、ちまちま細々と更新していきますので是非最後までお付き合い頂けると有難いです…! (2020年8月10日 21時) (レス) id: 2a028e4c13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年7月27日 0時