074: 電撃めざまし ページ27
「ん……」
ヒソカの顔を眺めていると、漸く彼が目を覚ました。
薄い瞼をゆっくり持ち上げ、金の瞳が現れる。
「A……」
気だるげに体を動かし、ヒソカは自分に覆い被さってるAと顔を合わせた。
「おはよ、ヒソカ君」
ありゃ、これはまずい。
起きた後のことなどは予想していなくて、この体制をヒソカが見れば「ボクのこと襲うの〜?」なんて嬉々とした声で言うはずだ。
そうなれば、まぁ肘鉄ぐらい喰らわせばいいか。
なんてことを頭の片隅で考えながら、Aはヒソカへ挨拶をする。
すると、彼はまだ若干眠たそうな顔まま、起きたての掠れた声でこう言ってきた。
「君……何ともない…?」
ぱちぱちと瞬き。
思わずAの方が驚いてしまう。
予想が外れた。なんだこの、普通の男みたいな声は。
言葉は意味がわからないし。
「…寝ぼけてるの?」
顔を顰め問うと、ヒソカはくつりと笑いながら「まさか♧」と返してきた。
嘘だ。
絶対寝ぼけてる。
変なことしてこないし。
「………そう。でも、貴方私の見解だと絶対寝ぼけてる。………目、覚ましてあげよっか。」
ヒソカの頬に手を滑らせ、輪郭に沿わせ撫でる。
これには吃驚したようで、細い目を見開いていた。
Aは構わずぐっと顔を寄せる。
「ちょ、ちょっと待って!?A?そういうのは、男として面子が立たないっていうか、ボクがする方が先っていうか、」
「黙って。」
「ひゃい…、」
艶めかしくも、鷹のような冷たい瞳で言われてしまったヒソカは急いで口を噤む。
狩られてしまうという、初めての感覚にいやこれもありだなとゾクゾクしてしまう。
「覚悟、してね」
「勿論さ…♡」
ヒソカが生唾を呑み込む。
Aはヒソカの言葉を確認すると、ふと表情を緩めた。
鼻先がもう少しでくっつく。
そして、次は漸く唇か____
思うこと、コンマ1秒。
ゴン゛ッッ!!!
鈍い音が骨伝いに脳を震わせ、額へ鈍痛が走る。
額から直に広がる痛みに、声が出ない。
Aは起き上がり、自身の額を撫でながら「だから、覚悟してって言ったでしょ」と述べた。
「待って、これボク、え、頭割れたりとかしてない??」
頭突きって。
目覚めのキスとかでは無かったのかと、叫びたくなったがAがそんな事してくれるわけない。
Aは平然とした顔で、ベッドから降りる。
「割れてない。ほら、目が覚めたでしょ。」
痛みでね。ヒソカは言ってやりたい気持ちを喉の奥に押し込んだ。
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鼻毛太郎(プロフ) - rinochan810さん» ありがとうございます;;とっっても嬉しいお言葉…!読みながらドキドキして下されば、夢書きとして本望です…!これから2人の関係が徐々に変化していくので、楽しみにしていてくださると有難いです! (2020年9月14日 23時) (レス) id: 2a028e4c13 (このIDを非表示/違反報告)
rinochan810(プロフ) - あの、本当に素敵です…ドキドキさせられてます…。いつも楽しみにしています。これからも応援してます…! (2020年9月14日 19時) (レス) id: 06f6601bca (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ミリさん» コメントありがとうございます!文章に関しては、普段文字量が詰め詰めで申し訳ない…と思いながら書いていたので、そう言って頂けると凄く嬉しいです;;今後も、更新が遅くなる日もございますが宜しくお願いいたします!! (2020年8月20日 17時) (レス) id: 16ef441d86 (このIDを非表示/違反報告)
ミリ - はじめまして。リメイク前の作品も読ませていただきました!!どちらも面白かったですし、文章も読みやすかったです。絵もステキですね!!!これからも読ませていただきます!!! (2020年8月19日 14時) (レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - Aaaさん» リメイク前の作品まで読んで頂けるとは…!とっても嬉しいですありがとうございます!!今後も、ちまちま細々と更新していきますので是非最後までお付き合い頂けると有難いです…! (2020年8月10日 21時) (レス) id: 2a028e4c13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2020年7月27日 0時