067： 妙な感情 ページ20
Aは暫くヒソカの顔を見た後、表情を解けさせた。
「そりゃあ、早く帰りたいけど、」
２、３歩ステップを踏むような足取りで、Aがヒソカの前を歩く。
「でもまぁ別に、」
Aが首だけを傾け、ヒソカを瞳に映す。
市街地の街頭に照らされるAの姿。
銀髪に光が差し込み反射し、そして海の色をした瞳が煌めく。
その光は、星にも劣らない。
「私、貴方との暮らしも結構楽しいと思ってるの」
その表情と言葉を前にしたその時、ヒソカは思わずどきりと心臓を跳ねさせた。
まるで心臓を握られたみたいな感覚。
Aの行動には、何度だってどきりとさせられてきたはずだ。
その度に血液が激しく巡り、ぞくぞくと体中に電流でも走った感覚を味わっている。
下腹部よりも下に力が入り、巡る血液がそこに集中していくのも感じていた。
あぁ早く壊したい。
浅く息をする君の体を今すぐ組み敷きたい。
生暖かい傷口に手を突っ込んで君を泣かせたい。
泣きながら名前でも呼ばれたら、絶対にその場で達してしまう。
そう思っていたはずだ。
しかし、今はその感覚とは少し違う。
なんだこの訳の分からない感情は。
誰にも渡したくないし側に置いていたいが、君に誰よりも幸せになって欲しいとかそんな事を思っている。
「…っ、」
ヒソカは伸ばしかけていた手を引っ込める。
今自分は何をしようとした？
この手で、Aの腕を掴んで、それから＿＿＿＿？
「ほらヒソカ君、お酒がぬるくなる前に帰るわよー」
Aの間延びした声が聞こえる。
ヒソカはその言葉に適当な返事を返し、帰路に足を戻した。
次第に時が経つと、ヒソカの頭からはその妙な感情は姿を消した＿＿＿。
るんるんとした足取りで、Aがリビングへ戻ってくるとヒソカが何やら電話をしていた。
ヒソカは通話口に相槌を打ちながら、Aの方へ目を向けると少しだけ笑みを見せひらひらと手を振る。
その姿に、Aは思わず｢愛想振り撒いてんじゃないわよ｣と顔を顰めた。
冷蔵庫から取り出した2つの冷えたグラス。
その1つに、まずは自身のドリンクを注ぐ。
｢これよこれ、この音！！｣
プルタブを引くとなる音。
注ぐ時の炭酸音と液体同士がグラスの中でぶつかり合う音。
たまらん。
Aは今から味わえる格別の満足に胸を躍らせつつ、残りのグラスに酒を注ぐ。
こっちはヒソカのだ。彼が最初に呑む酒ぐらい分かる。
伊達に呑み友達を続けているわけではない。
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鼻毛太郎(プロフ) - rinochan810さん» ありがとうございます；；とっっても嬉しいお言葉…！読みながらドキドキして下されば、夢書きとして本望です…！これから2人の関係が徐々に変化していくので、楽しみにしていてくださると有難いです！ (2020年9月14日 23時) (
レス) id: 2a028e4c13 (このIDを非表示/違反報告)
rinochan810(プロフ) - あの、本当に素敵です…ドキドキさせられてます…。いつも楽しみにしています。これからも応援してます…！ (2020年9月14日 19時) (レス) id: 06f6601bca (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ミリさん» コメントありがとうございます！文章に関しては、普段文字量が詰め詰めで申し訳ない…と思いながら書いていたので、そう言って頂けると凄く嬉しいです；；今後も、更新が遅くなる日もございますが宜しくお願いいたします！！ (2020年8月20日 17時) (レス) id: 16ef441d86 (このIDを非表示/違反報告)
ミリ - はじめまして。リメイク前の作品も読ませていただきました!!どちらも面白かったですし、文章も読みやすかったです。絵もステキですね!!!これからも読ませていただきます!!! (2020年8月19日 14時) (レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - Aaaさん» リメイク前の作品まで読んで頂けるとは…！とっても嬉しいですありがとうございます！！今後も、ちまちま細々と更新していきますので是非最後までお付き合い頂けると有難いです…！ (2020年8月10日 21時) (レス) id: 2a028e4c13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2020年7月27日 0時
