【H×H】赤ちゃんはどこからくるの？-8-

362：思い出 ページ14

キルアが言うと、Aはレモン水を口に含みながら「月か」と興味を持ってくれた。
「月か、月ね。そうかも」と小さく呟くと、Aは面白そうにキルアへと返す。

「月の表と裏が私とイルミかも。月って、一つの惑星なのに全く裏と表で違うのよ。面白いでしょ」

Aは楽しそうに笑う。
姉貴って、たまに哲学的だ。
キルアは「面白いか？」と疑問に思いつつ、ピザの耳を齧る。

「話は逸れたけど、私と『エデン』は月と星なの」

うん、言葉に出すとよりしっくりくる。
Aは続けた。

「上手く言えないけど……相棒みたいな感覚。キルとゴン君みたいな」

「なッ、は、恥ずいこと言うなよ！」

キルアが焦って言うと、Aは「恥ずかしい事ないでしょ。私から言うとそう見えるもの」と返す。
すると、キルアは「へぇ」と何かを理解したような顔をして意地悪く言った。

「姉貴とヒソカみたいな？」

「なッ、は、恥ずかしい事言わないでくれる！？」

「俺たちってやっぱ姉弟って感じだなぁ。俺、姉貴に似たのかな」

「こンのクソガキ……」

「でも、ゴンとヒソカを同列にするの俺嫌だな」

眉を顰めて首を捻るキルアに、Aは呆れたと眉を下げ「これだから変化系は」と呟く。
自分も変化系なのが笑えない。

「相棒を盗られたら、誰だって必死になるでしょ」

貴方も直に分かるわよ。
Aは、フォークの先をキルアに向けて述べた。
ゴン君に何かあっても困るから正直出会って欲しくない感覚なのだが、これは大切な何かを手に入れた時じゃないと理解できない感覚なのだ。

Aがフォークの先をキルアから食べていた前菜に向ける。

すると、突然目の前でキルアが微かに笑った。
Aは前菜から視線を上げて「今笑った？」と尋ねると、彼は「笑った」と返してくる。

「姉ちゃんと『エデン』って、もっと殺伐とした関係かと思ってたけど違うんだなぁって姉ちゃんの顔見て思ったんだよ」

思わずキョトンとするA。

「すげぇ小さい頃に、イルミに『姉さんの前でエデンの話をするな』って言われたことがあんだよ。だから、あんまり『エデン』といい思い出がねぇのかなって思ってたんだけどさ。……姉貴、『エデン』の話すると嬉しそうだよね」

やっぱ、月と星ってのは間違ってないかも。
相棒だね。


キルアの言葉で、Aは瞳を小さく丸くした。


そうか、私＿＿＿＿『エデン』の話をすると嬉しそうなのか



気づいてなかった。

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