306：アヒルちゃん ページ8
あれだけ掻き乱され悩んではいたものの、やはりこの天空闘技場の活気を前にすると一切の感情を後回しにし、とにかくワクワクとしてしまう。
初戦呼び出しのアナウンスを待ちながら、Aとヒソカは観客席に腰を下ろした。
「ところで、」
格闘家、拳法家。関係無しに組まされ、激しく拳を交える光景を眺めていたAへヒソカは声をかける。
彼はどうやら初戦には目星の獲物は居ないようだった。
「ん？」
足を組み、頬杖をつきながらAは顔を向ける。
「いいのかい？」
「なにが？」
「君は弟と戦わなくて♧」
尋ねると、Aは困ったように笑って見せた。
「キルが望めば本気でやってあげるけど、望まきゃやらないわ。強くしてあげたいとは思うけど」
「ふぅん、じゃあボクが食べちゃおうかな♤君と一緒に姉弟丼なんて最高だろうね♡」
「最低、暫く私に話しかけないで」
ぷい、とリングの方へ顔を戻すA。
機嫌損ねちゃった。けど、その軽蔑したって顔が見たかったりもするんだよなぁと呑気に思うヒソカ。
以前と感情がどう変わったと尋ねられると説明しづらいが、彼女を獲物と認識していた時は何処がどう好きだとか気に入っているだとかが言語化出来た。
今は、それが上手く言語化出来なくなった。
ふとした瞬間、“好きだなぁ”と思う事が多くなったからだろう。
全部が好き、なんてつまらない在り来りな言葉しか出てこないが、本当にそうなのだから仕方ない。
しかしアレだ。
Aを堕とすとは言ったが、思ってた以上に難しい。
押しに弱いから押せば諦めてくれると思っていた。
ことはそう簡単な話じゃなかったか。
ヒソカが腕を組むと同時、なんとなく横を向いてみたその時だった。
「………えっと…、何してるの…？」
というか、何それ。
ヒソカはじとりと目を細める。
さっきまで横には銀髪の美女が居たはずなのだが、一体いつから変わった？
「変装に決まってんじゃない」
思考が停止してるヒソカに、Aは親指をぐっと立てる。
「プロポーション抜群のアヒル。これなら弟達にもバレないし、彼らの気を削ぐこともないでしょ」
一体いつから横の美女は、アヒル頭の女になった？？
頭部だけアヒルの着ぐるみを被った、確かにプロポーションは抜群のアヒル。
それで変装のつもりなんだ、と言いかけた言葉を喉の奥に押し込みヒソカは言葉を返す。
「ボク、君のそういうセンス嫌いじゃないよ…♢」
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鼻毛太郎(プロフ) - アネモネさん» ありがとうございます！とっても嬉しい限りです…；；夢主好きになってくれるなんて、めちゃくちゃ嬉しい…律儀というか天邪鬼というか健気というか純粋というか、そんな夢主ですが今後も宜しくお願い致します…！！ (2021年7月25日 10時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - 面白すぎて、一気にここまで読んでしまいました………。今まで読んできた夢主ちゃんの中でトップレベルで好きです…！！ヒソカとの絡みで素直になれないところとか本当に可愛すぎます……！！作者様のペースで、これからも更新頑張ってください！ (2021年7月24日 18時) (レス) id: 3b50ba95a6 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ☆さん» コメントありがとうございます！とっても嬉しいお言葉頂けてモチベ上がります；；ヒソカもお姉さんもこれからまた関係が動いていったり、第三者が介入してきたり今後色んな事が起こりますが、是非今後も楽しんでくださるとありがたいです！お楽しみに！！ (2021年7月9日 22時) (レス) id: 16ef441d86 (このIDを非表示/違反報告)
☆(プロフ) - 続編おめでとうございます。物語の構成があまりにも面白くて、大好きな作品です。ヒソカの性格も私の思い描いている通りで、また、彼と絡む夢主ちゃんの強さや弱さがとても大好きです。これからも無理なさらずに頑張ってください！ (2021年7月9日 20時) (レス) id: 56780b611d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2021年7月9日 1時
