337:対抗策 ページ39
へぇ、やっぱり姉弟なんだぁ。なんて言われ方をし、悪い気にもなれずけれどヒソカに言われるのは面白くない。
キルアは「お前より俺の方が姉貴に詳しい」と小さく呟き精一杯の抵抗をしてみる。
「隣に座ったのは1万歩譲って許してやる」
「随分譲歩してくれるね〜♤」
「うっせぇ!!!!……俺になんか用あんだろ」
だから、隣に座ってきた。
そうじゃなかったら可笑しい。
しかし当のヒソカは、なにそれと言わんばかりの顔を見せてきた。
「用?特にないけど♢」
前言撤回。
コイツは、前提として“可笑しい”奴だった。
「なぁんちゃって♧ウソウソ、あからさまに嫌な顔して君も可愛いねぇ♡」
「……」
姉貴はこんなのと毎日朝から晩まで一緒に居るのか。
アイツ、家出してから頭可笑しくなっちまったんだろうな。
ヒソカは、ひとしきり笑うとひと呼吸おいて「用が無いといえば無い。あると言えばある♢」なんて訳の分からない事を告げた。
的を得ない回答に、キルアは苛立ち「ハッキリ言えよ」と返す。
ヒソカは、相変わらず読めない笑みを浮かべたままキルアに言った。
「Aがどうして家出したか、聞きたいかい?」
「どうしたァ!!!アヒル、今日は調子悪いのかーー!?」
「俺はお前に5万ジェニーも賭けちまってんだ、頼むよ!!!」
観客席から飛ぶ声に、Aは「自分で何とかしろよ…」と呆れ気味に呟く。
アヒル奥の瞳で、Aは一切目の前の男から目を逸らさなかった。
リンフォン。
動きにくそうな漢服に、巫山戯た口髭。
銀髪の前髪を悠長に掻きあげ、にたりと笑う彼の口元には瞳にかけての縫合傷があった。
そして、何よりも目を引くのはサングラスの奥から覗く瞳。
濁った色をした瞳だ。
「どうしました?あー、私に攻撃を全て見切られて矜恃に傷がつきましたかな?」
「喧しい、私が考えてる時に許可なく喋るな」
鋭い言葉に、リンフォンは肩を竦めて「自分が不調だからと八つ当たりは良くないな」と呟く。
不調なもんか。
Aは、じりと片足を引き戦闘態勢を取る。
何処から攻め込むべきか。
全く不調なんかじゃない。
絶好調だとも言い難いが、Aの動きはいつもとほぼ変わらなかった。
そもそも、並大抵の能力者でも、Aは己のフィジカルだけで発動しずとも勝てる自信がある。
現に、数日前200階の洗礼を仕掛けてきた相手を“発”無しで倒し返り討ちにした。
しかし、このリンフォンという男はそう簡単にいかない
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鼻毛太郎(プロフ) - アネモネさん» ありがとうございます!とっても嬉しい限りです…;;夢主好きになってくれるなんて、めちゃくちゃ嬉しい…律儀というか天邪鬼というか健気というか純粋というか、そんな夢主ですが今後も宜しくお願い致します…!! (2021年7月25日 10時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
アネモネ(プロフ) - 面白すぎて、一気にここまで読んでしまいました………。今まで読んできた夢主ちゃんの中でトップレベルで好きです…!!ヒソカとの絡みで素直になれないところとか本当に可愛すぎます……!!作者様のペースで、これからも更新頑張ってください! (2021年7月24日 18時) (レス) id: 3b50ba95a6 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ☆さん» コメントありがとうございます!とっても嬉しいお言葉頂けてモチベ上がります;;ヒソカもお姉さんもこれからまた関係が動いていったり、第三者が介入してきたり今後色んな事が起こりますが、是非今後も楽しんでくださるとありがたいです!お楽しみに!! (2021年7月9日 22時) (レス) id: 16ef441d86 (このIDを非表示/違反報告)
☆(プロフ) - 続編おめでとうございます。物語の構成があまりにも面白くて、大好きな作品です。ヒソカの性格も私の思い描いている通りで、また、彼と絡む夢主ちゃんの強さや弱さがとても大好きです。これからも無理なさらずに頑張ってください! (2021年7月9日 20時) (レス) id: 56780b611d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年7月9日 1時