【H×H】赤ちゃんはどこからくるの？-7-

323：子を谷に落とす母獅子 ページ25

「中々の手練だ…」

眼鏡の男は静かに呟いた。
そして、眼鏡の男は同時に気づいていた。


あの女性、ここ数日闘技場内で注目を集めていた謎のアヒル頭だな。


眼鏡の男は一つ息を吐きだす。


「私から本当の“ネン”について教えます。だから、今はここから退散しましょう」


ゴンとキルアは、彼の言葉を聞きながら顔を見合わせる。
そして、立ち上がりながらキルアは遠くなった姉に尋ねた。

「姉ちゃん、期間は何時までだ？」

唐突に尋ねたキルアの言葉。
眼鏡の男とゴンにとっては、何故キルアがそう尋ねたのか最初は分からなかった。

Aは、子を谷に落とした母獅子が如く厳しく突放す様な瞳のまま告げる。


「今日中にここを通ってみなさい。それが出来なければ、帰りなさい」


厳しい言葉であったが、この場にいる200階を知る者だけがその真意を理解していた。
でなければ、この先死ぬ事になる。
ゴンに至っては、彼の目的であるヒソカをぶん殴る事など到底いつまで経っても出来ない。

ヒソカは喉を鳴らし笑うと、小さく「優しいね♢」と呟く。

姉の言葉を聞き遂げると、キルアは後ろの眼鏡の男に尋ねた。

「そういう事だ。一先ず戻って、今日中…0時までにここに戻ってこれるかい？」

眼鏡の男は、微かに眉を寄せ難しそうな顔を見せる。
遠くからAの声が投げかけられた。

「どっちにしろ、彼らは今日中に登録をすべきよ。ゴン君はまた最初からやり直せばいいけど、キルは過去に200階まで進んでる。けど、未登録だったから今回登録しないと参加自体が不可能になる」

それを聞いて、ゴンとキルアは目を見開いた。
それだけは困る。

Aが、瞳だけで眼鏡の男へ「さて、貴方はどうする？」と尋ねた。
眼鏡の男は、再び短く息つくと「分かりました」と頷いた。



「今日中ですね。…ゴン君、キルア君、私は了承しましたがここから先は君達次第だ」



8時半。
今日が終わるまで、あと約3時間半＿＿＿＿。









「ヒソカ君、ここで待つの？」

200階受付前のロビーで、壁に向かってトランプを投げ打つヒソカに対しAは尋ねた。
壁の惨状に、それ弁償するんでしょうね？と尋ねるとヒソカはにこやかに「ん？」と首を傾げたのがついさっきのこと。

「彼らがいつ来るか分からないからね。あの果実は成長が早いが、熟れるのはまだまだ先…かなり楽しめそうだ♡」

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