271：外れたネジ ページ23
「え、そうなの？」
起伏のない声で、精一杯驚いてみせるイルミにレオリオ「あったりまえだ、馬鹿！」と親指を下に向けてみせる。
「そうか…困ったな」
顎を撫でるイルミ。
沸騰した感情がレオリオの言葉で落ち着いていく。
力の籠った拳を解いていくと、ヒソカの掴む手も比例するよう緩んだ。
「ごめん、ありがと」
「お互い様だろ♧」
「貴方の手綱握る方が大変よ」
Aがいつもの調子を取り戻し始めた
その時＿＿＿＿、
ぽんとイルミが掌を打つ。
「しょうがない。じゃあ、ゴンを殺そう」
空気中に、イルミの軽い口調とは裏腹な黒い塊が渦巻いた。
一同残らず、胸中に電撃が走る。
イルミだけが終始平静を保ち、針片手に出口へと歩き出す。
「ちょっと待ってください！まだ試験は、がッ、」
イルミが見向きもせず投げた針は、彼を止めに入った立会人に刺さり顔の形を変えていく。
「ゴンはどこ？」
「隣の、控え室にッ、」
どうも、イルミは短く礼を言うと再び歩き出す。
向かう先はゴンのもと。目的はただ一つ、彼を殺すことだけ。
しかし、殆どの者が彼を素直に通す訳がなかった。
扉前に立ちはだかるのは、レオリオ、クラピカ、ハンゾー。
Aはといえば、再び点火された感情に奮い立たされていた訳なのだが、「弟達全員失格になるよ」とヒソカに宥められなんとか持ち堪えていた。
今のAなら、問答無用で場内に入りイルミを殴っている。
「…ッ、分かってる」
削れるんじゃないかと思う程、Aは奥歯を噛み締めた。
「参ったな。俺が今ここで君達を殺したら、失格になってキルが自動的に合格しちゃうな。あ、それはゴンを殺しても同じか。うーん…あ、まず合格してからゴンを殺そう」
キルアの顔を汗が伝う。
衣服の中も、既に汗でじっとりとしていた。
「それなら、仮に幾らか殺しても俺の合格を取り消される事は無いよね」
イルミの問いにネテロは問題ないと頷くと、イルミはわざとらしく声を潜め「聞いたかい、キル」と後ろの弟に振った。
「友達の為に、俺と戦えるかい？じゃあないと、友達は助からないよ」
真っ黒な眼が一層陰り、低く「出来ないだろ」と告げる。
そして、ゆっくりとキルアへ歩みイルミは続けた。
「何故なら、お前は友達よりも今この瞬間俺を倒せるか倒せないかの方が大事だから」
キルアから、汗滴が落ちる。
「もう答えは出てるんだろ？俺の力じゃ、兄貴は倒せない。勝ち目の無い相手とは戦うな。そう教えたよね」
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鼻毛太郎(プロフ) - みこさん» コメントありがとうございます！新しい扉開けたようで、私としてはとても嬉しい限りです限りです😂現在進行形で長く続くシリーズではありますが、是非引き続きお楽しみください！！ (2022年6月1日 22時) (
レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
みこ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます...！実は私ヒソカさん、可もなく不可もなくくらいだったのですが...この話を読み始めたらなにやら目覚めました...笑← 一気に読み進めてしまい、夢中になっております！！続編もウキウキしながら楽しみに読みます！！ (2022年6月1日 20時) (レス) @page50 id: e77f4d9956 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ポテトさん» 毎回ポテトさんからコメント頂けて本当に有難いです；；私こそ、ポテトさんからのコメントを楽しみにしているんですよ…段々クロロとのシーンが刻々と迫ってきていますね…私自身も皆さんにお見せできる日を楽しみにしています！こたらこそ、以降も宜しくお願いします！ (2021年7月9日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ポテト(プロフ) - 続編おめでとうございます。本当に一話一話を読むのが、楽しいです。これから、お姉さんがクロロとどう関わっていくか楽しみです。ヒソカとの、いつもの会話が久しぶりに見れて、「やっぱりこれだよな」と思い、最高でした。これからのお話も楽しみにしています。 (2021年7月8日 22時) (レス) id: 1bfcbf4b39 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ポテトさん» ああありがとうございます；；凄く達成感を感じますね…この展開、ネタ帳を見たら昨年の9月に決まってたみたいでビックリしました。温めていたものを皆さんに見せられてとても満足しています。神回まで言われて、本当に嬉しい限りです…；；；； (2021年6月29日 0時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼻毛太郎
| 作成日時：2021年5月30日 0時
