【H×H】赤ちゃんはどこからくるの？-6-

251：四次試験終了 ページ3

四次試験は、その後特に山もなく谷もなく無事に終了した。

合格者は10名。

こんなもんか、Aは迎えの飛行船に乗り込んだ時にそう思ったのを覚えている。

飛行船で最終試験会場に連れていかれる中、誰もがこれが最後かとザワついていたが、Aからしてみればそんなのもはやどうでも良かった。



飛行船の廊下。
窓に凭れて、Aはプレートを指で弾く。
宙を舞う22番のプレート。

思い出すのは、あの夜の一件だ。

どう解釈すれば正解なのか分からない出来事。
あれ以降、ヒソカとは会話をしている。
だが、お互い平然とした様子でいつもの会話をしただけだった。

あの夜については、どちらも何も言い出さない。


まさか、無かったことにしようとしてるんじゃないでしょうね。


Aはプレートを氷漬けにし、一気に砕かせた。
物に当たるなんて、私らしくもない。


独りごちた矢先、廊下の奥からゴンがやってきた。

Aは、ウサギ頭のままゴンに顔を向けた。
ゴンはトコトコと歩み寄ってくると、無言でAの横に凭れた。

「ウサちゃん、俺話したいことがあってさ」

どこか元気のないゴン。
Aは彼の言葉に、力なく天を仰いだ。

「奇遇だね。私もさ、ちょっと話したいことがあるんだよね…」

誰でも良いから聞いて欲しくてさぁ、とAは口を開いた。

「喋った…」

案の定、ゴンはAというかウサギが普通に声を発したことに目を丸くした。

Aもミスをしたわけではなく、わざとであった。

「君相手なら良いかなぁって思ってさぁ」

ゴンはAを不思議そうに見ながらも、本人がいいと言うならと思いその後の問いを尋ねるのをやめた。

「ゴン君から話していいよ。聞いて欲しいんでしょ、私に」

ゴンは動揺しながらも頷く。

ゴンは、ゼビル島で起こったヒソカとの一件をAに話した。
会話の合間に相槌を打ってくれるA。
彼女との会話は、いつも一方的に喋ることが多いゴンからするとなんだか不思議な感覚だった。


歳上のお姉さんと喋ってるみたいだ

ウサちゃんは、やっぱり12歳なんかじゃないんだ


ゴンは思い出す。
ウサギ頭の中身を、見てしまった事を。



全て話し終えると、暫く黙って聞いていたAが声を漏らした。

「ゴン君…君凄いな…」

「凄くなんかない。負けたんだ、俺」

あんなに練習したのに。
ゴンは俯き言った。
すると、Aは「そうじゃないよ」と優しく首を振る。

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