290:どちら側か ページ42
ハンゾーはAと別れの挨拶を交わすと、その場を颯爽と去っていった。
良い奴だったな
Aは、去ったばかりのハンゾーを思い出して、ふっと笑った。
「それで、お姉さんはさっき何を言いかけたの?」
ハンゾーが来る直前、Aが何か言おうとしていたのをゴンは覚えていた。
Aは「あ、そうそう!」と最初の時のように声を上げて再び懐を探り始める。
「私も、ハンゾー君じゃないけどゴン君達に____、」
「やぁ、姉さん」
再び遮られる言葉。
Aは顔を上げ、ゴン達の後ろに目をやる。
釣られて、三人も後ろを振り向いた。
黒い挑発、黒い眼、不自然なまでの無機質な表情。
三人はほぼ同時に悲鳴に似た叫び声を上げた。
「気配消して近づいたら可哀想よ、イル」
Aが呆れた声で言ってやると、イルミは「この程度で気づけないなら、キルを助けるなんて無理だね」と抑揚のない声で返した。
その言葉に眼光を鋭くする三人。
Aはヒソカと顔を見合わせて肩を竦める。
「イル、私はアンタを許したつもりは無いけど、根に持ってもない」
イルミは無言で姉をじっと見る。
「なんなら、もうこの件に関与するつもりもない」
「そう。良かった、姉さんとこれから殴り合うことになるかもしれないって心配してたんだ。姉さんとは、俺仲良くしたいし」
けど、今になってどうして?
イルミは首を傾げる。
姉の性格上、すぐに引き下がるなんて事は早々ないからだ。
揉め事はきっちり売られた金額分、耳を揃えて返してくる。
問うと、Aは「そりゃ勿論、」とゴンの頭に手を置いた。
「キルを助けるのは、私じゃなくてこの三人だと確信しているから」
イルミの目が細まる。
「ふぅん…」と相槌を返すが、気に入らないなという様子だ。
しかし、姉の言葉にこれ以上返すのも得じゃない。
イルミはヒソカにも目を向け、「ヒソカもそっち側ってわけ?」と尋ねると
「どっち側でもないよ♢Aが居る方にだけつく♡」
とにこやかに返す。
だろうね。
イルミは口に出さない代わりに、短く溜息を漏らした。
「いいよ、分かった。今回は下がってあげる。俺は無理だろうなと思ってるし」
イルミは言うと、三人の横を通り抜けAの横に並ぶ。
「そういう事だから、いいよね姉さん」
「うん。特に無いわよ。帰るの?」
「このまま仕事だよ。姉さんの分まで俺が片付けてるからね」
その言葉に、Aは分が悪そうに顔を顰める。
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鼻毛太郎(プロフ) - みこさん» コメントありがとうございます!新しい扉開けたようで、私としてはとても嬉しい限りです限りです😂現在進行形で長く続くシリーズではありますが、是非引き続きお楽しみください!! (2022年6月1日 22時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
みこ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます...!実は私ヒソカさん、可もなく不可もなくくらいだったのですが...この話を読み始めたらなにやら目覚めました...笑← 一気に読み進めてしまい、夢中になっております!!続編もウキウキしながら楽しみに読みます!! (2022年6月1日 20時) (レス) @page50 id: e77f4d9956 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ポテトさん» 毎回ポテトさんからコメント頂けて本当に有難いです;;私こそ、ポテトさんからのコメントを楽しみにしているんですよ…段々クロロとのシーンが刻々と迫ってきていますね…私自身も皆さんにお見せできる日を楽しみにしています!こたらこそ、以降も宜しくお願いします! (2021年7月9日 1時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ポテト(プロフ) - 続編おめでとうございます。本当に一話一話を読むのが、楽しいです。これから、お姉さんがクロロとどう関わっていくか楽しみです。ヒソカとの、いつもの会話が久しぶりに見れて、「やっぱりこれだよな」と思い、最高でした。これからのお話も楽しみにしています。 (2021年7月8日 22時) (レス) id: 1bfcbf4b39 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ポテトさん» ああありがとうございます;;凄く達成感を感じますね…この展開、ネタ帳を見たら昨年の9月に決まってたみたいでビックリしました。温めていたものを皆さんに見せられてとても満足しています。神回まで言われて、本当に嬉しい限りです…;;;; (2021年6月29日 0時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年5月30日 0時