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229:狩りごっこ ページ31

Aが呟くのを合図に、二人は視線を合わせることもなく言葉を交わすことも無く同時に地を蹴った。

常人のそれとは比べ物にならない速度で駆け、頃合のいい所で軽く飛ぶと高い気の上まで登り詰める。

その身のこなしはまるで猫。
いや、それ以上である。
猫よりももっとずっと獰猛で、狩に手馴れている獣。

二人の獣は太くて高い木の枝に佇み、地を見下ろす。

「一人は女かな。見失ってるだろうね、私達のこと」

「そりゃあね。着いて来れないと思うよ。…けど、もう一人はどうかな」

イルミはAの隣でうーんと目を凝らす。
そして、眉間の皺を緩めると「驚いたな」と呟いた。

「見失った。姉さんを尾けてた奴だよね」

「まぁ、四次試験ともなればちょっとは技術ある奴が混ざってても可笑しくないか…」

「大丈夫?姉さん」

イルミが尋ねると、Aは「当たり前よ、誰に言っているの」と返した。
しかし、すぐにイルミは「いや、そっちじゃなくて」と返す。

「姉さん、足怪我してるだろ。俺より少し走るの遅かったからさ」

片足庇ってる?
イルミはAへ目を向ける。

その足は、Aが軍艦島にてゴンを助けた際に切りつけた所であった。

「あー…氷で止血はしたんだけどね」

あの後、すぐに『氷上の皇帝(コキュートス)』を発動し傷口を氷で覆った。
血は止まったものの傷は思ったよりも深かったようで、Aはここの所足を半ば庇い生活していた。

「対した支障じゃないわよ。大丈夫」

「姉さんが言うなら、仕方ないかな。俺が安静にしてろって言ったって、姉さん走り回るだろうし」

「…私の事わんぱく小僧か何かかと思ってる?」

いつも通りの会話は何ヶ月ぶりだろうか。
イルミに姿がバレ数日、Aは何度もそれを思いだす。

木の影に隠れ、辺りを警戒し伺う女がすぐ下に見える。
イルミを追ってきた女はライフルを構えていた。
彼女は既に獲物に気づかれているという事に気づいていない。

「あの女、俺が狙ってる奴じゃないみたい」

イルミは自身が引いた番号を確認し言う。

「姉さん、獲物は分かってる?」

「いいや。探して狩るか、適当に集めるか。割とどっちでもいいかなって思ってる」

「ふぅん。あの女、俺じゃないしあげようか?」

「自分で取るわよ。ヒソカ君にあげたら?」

「アイツ、絶対相手把握してないだろうな」

「前提として狩りごっこ大好きなんだから。1人狩るより3人狩る方を選ぶでしょうね」

Aは肩を竦める。

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鼻毛太郎(プロフ) - ポテトさん» し、した…!!!って感じですよね…!絶対無茶苦茶な会話してますよ…おわーーテスト頑張ってください;;テスト明けいっぱい楽しめるよう、沢山お話作っておくので…!いつも応援されている身なので、今回ばかりは私が応援を!頑張って!! (2021年5月28日 19時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ポテト - きゃーーーー(/ω\)キャー〜ついに、ついに、キッッッッッッッッスですか。確かに、早く旅団との絡みもみたい(*´-`)クロロと4人での会話なんて、めちゃくちゃテンション上がりますo(*≧∀≦)ノただ、テスト期間なのでこれからコメントするのが、少なくなりそうです(..) (2021年5月28日 16時) (レス) id: 6f62e33b14 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ポテトさん» そうなんですよね…!意外と真面目な戦闘シーンって無くて、今後もちょくちょく出てきます…!たまには2人とも動ける人なんだから、目一杯動いてもらいたくて! (2021年5月26日 23時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)
ポテト - ヤバイ、かっこいいぃぃぃぃ\(^-^)/ヒソカとの真面目な戦闘シーンって、今までなかったからすごく興奮しました(*´-`)『その時…』って何があったのぉぉぉ (2021年5月26日 19時) (レス) id: 6f62e33b14 (このIDを非表示/違反報告)
鼻毛太郎(プロフ) - ポテトさん» 絶対2人に「それは無理がある」って言われるけど、「は?」って言って黙らすんだろうなと書きながら思いましたね笑数話殺伐とした内容が始まりますが、殺人鬼と暗殺者の真骨頂だと思うのでお楽しみに…!!! (2021年5月24日 22時) (レス) id: 642d1e8526 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鼻毛太郎 | 作成日時:2021年4月14日 1時

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