彼が消えて早5年。今私は...5【安室透・降谷零】

185.side赤井 ページ27

車が走るのを狙撃で阻止すれば、降りてきたあいつは澪を海に落とした。









怒りでどうにかなって仕舞いそうなのを押し殺し、澪の無事にホッとしていれば、やつはそこから逃げようとしていた。









咄嗟に持っていたライフルをかまえれば、横から鋭い声をあげられ動きを止める。









「赤井さん！！！今撃ったら殺しちゃうだろ！？！？？落ち着いて！！！！」









そう叫ばれてライフルを下ろし息をつく。確かにそうだ。冷静であれば肩を撃つ、などの対処ができたと思うが、今の俺は冷静じゃない。









きっと心臓を狙う以外のことが出来ないだろう。しかし殺してしまえば法で裁けなくなる。









止めてくれた坊やに感謝だな。









そう思って坊やに視線を向ければ、サッカーボールを思い切り蹴ろうとしているのが見えた。









一直線にやつへと飛んでいったそれは、後頭部に直撃して、やつは倒れ込んだ。









ほぉー...。サッカーボールならまあ全力で蹴っても死にはしないだろう。









走りよっていった降谷くんがやつの首に手刀を入れて確実に意識を刈り取る。うっ...という声が聞こえた為もしかしたら狸寝入りだったのかもしれんな。









坊やに縛るためのロープを持たせ、最悪だ。と悪態をつく降谷君の元に送り込む。









それを受け取った降谷君が、ロープを使ってやつを縛り上げた。それはもうギッチギチに。









それから、どこかに電話をかけてからこちらを振り返った。









ギッチギチに縛られたやつは彼の足元に転がっている。









...やはり、降谷君は敵にまわしたくないな。









そっと、やつから視線をそらした。

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